【土井正己のMove the World】“Mr.レクサス”を狙え…ドバイにインターセクト2号店オープン

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レクサスがドバイにオープンした「INTERSECT BY LEXUS - DUBAI」
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12月初旬、再びドバイを訪問した。ドバイは、アラブのオイルマネーが集まる金融・ビジネスの中心地として有名だが、その街が今、世界の文化やファッションの発信基地にもなろうとしている。人口は200万人強で、その8割は外国人。すなわち、インド系、西欧系、米系などあらゆる民族(移民)が混在する多民族国家だ。しかも、国民一人当たりのGDPは、4万ドルを超えており日本を1割程上回っている。

◆「INTERSECT BY LEXUS - DUBAI」

ここにレクサスのインターセクト2号店、「INTERSECT BY LEXUS - DUBAI」がオープンしたと聞き、早速立ち寄ってきた。場所は、金融センターのど真ん中。ビルの一角に3フロアーを占有し、豪華に空間演出されている。空間設計は、青山の1号店と同じ片山正道氏(ワンダーウォール代表)だ。青山に比べ、平面積はさほど変わらないが、3フロアーというところでスケールが大きく感じる(青山は2フロアー)。

地階にレクサスのコンセプトモデル『LF-LC』(2012年のパリモーターショーに出展)が置かれ、床下にレクサスの全パーツを模ったオブジェが敷き詰められており(青山では、壁面にこのオブジェ群が埋め込まれている)、その上にガラスを敷いての床面となっている。クルマという先端技術とカーデザインの芸術性が融合したのがレクサスだと言わんばかりのメッセージだ。

1Fは、“Mr.レクサス”の書斎をイメージしたカフェ。アンディ・ウォーホルの図録集が書棚におかれていた。波打った天井のデザインは、砂漠をイメージしたものという。2Fは本格的なレストランで、当面、ターゲットユーザーを集めて、週末は毎週パーティーを行うらしい。

どういう人がターゲットユーザーかと聞くと、UAEでトヨタとレクサスの販売代理店であるAl-Fittaim社のサウド・アッバシ本部長は、「これまでのレクサスユーザーは、BMWやベンツに比べ、保守的な人が多かった。年齢的にも、若干高く、守りに入った中高年というイメージが強かった。この拠点を核として、イメージ戦略を展開し、もう少し若い層、そして、芸術やファッション・情報にも敏感でチャレンジ精神の強い富裕層を狙っていきたい。それを“Mr.レクサス”と呼んでいる」と答えてくれた。

ここまで、ターゲットユーザーを明確化できていれば、マーケティング戦略として成功する確率が高い。

◆ “Mr.レクサス”を狙え

この“Mr.レクサス”を捉えようとするマーケティング戦略は、ドバイだけで行われているわけではない。グローバル方針として展開されている。“芸術やファッション・情報にも敏感でチャレンジ精神の強い富裕層”を狙うレクサスの新戦略は随所に見られ、この方向性は、最近になって大胆に打ち出されている。

また、スケートボードが地上数センチに浮き上がり、まるで、魔法の絨毯のように空中に浮いた状態で、スケートボートをやってのける動画映像が、SNS上で、この夏大きな話題となった。そのスケートボードは、「Lexus Hoberboard(レクサス ホバーボード)」と名付けられている。レクサスが、ブランドキャンペーンとして、この実験をスポンサードして、開発のスタートから成功までを映像に収め、SNSを通じてばら撒いた。YouTube上では本年6月末に公開されてから800万回以上の視聴となっている。開発費用を含めた投下費用はわからないが、これだけ話題となったのだから新しいマーケティング手法として評価されていい。

インターセクトの方は、次はニューヨークに3号店が計画されているらしい。今度は、どんな場所にどんなコンセプトで登場してくるのか待ち遠しい。ただ、ここでもやっぱり“Mr.レクサス”を狙ってくるのであろう。

あるサイトで、空間デザイナーの片山正道氏のインタビュー記事を読んだ。それによるとインターセクトのコンセプトを考える前に豊田章男社長と長時間話をしたらしい。それが、設計コンセプトに大きく影響を与えたという。なるほど、“Mr.レクサス”が語るほど強いものはない。

<土井正己 プロフィール>
グローバル・コミュニケーションを専門とする国際コンサル ティング・ファームである「クレアブ」副社長。山形大学 特任教授。2013年末まで、トヨタ自動車に31年間勤務。主に広報分野、グローバル・マーケティング(宣伝)分野で活躍。2000年から2004年まで チェコのプラハに駐在。帰国後、グローバル・コミュニケーション室長、広報部担当部長を歴任。2014年より、「クレアブ」で、官公庁や企業のコンサルタント業務に従事。

《土井 正己》

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