【ロサンゼルスモーターショー15】三輪自動車エリオ…社長が語る、作られた理由と作れた理由

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エリオ・モーターズ社長 ポール・エリオ氏
  • エリオ・モーターズ社長 ポール・エリオ氏
  • エリオ・モーターズ自社開発のエンジン
  • エリオのプロトタイプ P5(ロサンゼルスモーターショー15)
  • エリオのプロトタイプ P5(ロサンゼルスモーターショー15)

11月19日(北米時間)、ベンチャー企業のエリオ・モーターズはロサンゼルスモーターショー15において、三輪自動車『エリオ』の最終プロトタイプ『P5』を発表。プレスカンファレンスでは、ポール・エリオ社長が開発にかける思いを語った。

ロサンゼルスモーターショーには今年が初の参加となるエリオ・モーターズ。二人乗り三輪自動車『エリオ』を開発するベンチャー自動車メーカーだ。

エリオの燃費は最高で35.7km/リットル(高速道路走行時)。米国内の製造であるにも関わらず、ベース価格は6800ドル(約83万5000円、11月19日現在)という低価格を打ち出している。

「この社会においての一番の悩み、それはモビリティです」と話し始めたのは、エリオ・モーターズのポール・エリオ社長。「ハーバード大学のある経済学者によると、モビリティこそが貧困から抜け出せない一番大きな原因だといいます。実際この国で、職がない人の60%は、移動手段がないために仕事につけていないという調査結果もあります」。

自動車大国と言われる米国は生活にクルマが欠かせない。買い物をするのも、仕事に行くのも、すべてがクルマに頼っている。エリオ社長は、貧富の差が生み出すこの"自動車所有の有無”が、貧富の差が埋まらない原因だと話す。

このような問題解決のため、低価格で低燃費のクルマを開発したというエリオ氏。次に価格を抑えるための努力が語られた。

3気筒0.9リットルエンジンは自社生産で行っている理由については、「それが一番現実的だったからです。他のメーカーから購入するという手もありますが、他のメーカーが作るものは、どんなクルマにも“良い”エンジンです。決して“ベスト”にはなり得ません」と、自社開発のエンジンが、エリオにとっては性能、価格面において最高のエンジンであることを説明する。

低価格と安心を保障するためにもう一つ明かされたのが、既存技術の流用だった。「エリオには新しいテクノロジーはまったく使われていません。すべて既存の技術を流用することで、価格を抑え、さらに安全性へのリスクもなくしています」と、新しい技術を使うのではなく、どう使うか、といった点に注力していることを強調した。

先進国であり超大国である米国。しかしそこには根強い貧富の差が存在し、それを低価格で低燃費のクルマを造って変えていこうとするエリオ氏。小さいブースで開かれた、小さい会社の、小さいクルマのカンファレンスだったが、そこで語られた内容はとてもスケールの大きなものだった。

《関 航介》

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