【リノ・エアレース】デモ飛行は3000回超、ブライトリング・チーム率いるボツラン氏「エアロバティックス」への想い

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ブライトリング・ジェット・チームを率いるジャック・ボツラン氏
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  • ブライトリング・ジェット・チーム(リノ・エアレース)
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民間唯一のジェット・チームであり、昨年に実施したアジア・ツアーでは、日本でもエアロバティックスを披露した「ブライトリング・ジェット・チーム」。今年は、9月18~21日に開催されたリノ・エアレースを皮切りにアメリカン・ツアーを実施する。チームを率いるリーダーであり、フライト時間1万1200時間以上、37か国で、3000回以上のデモンストレーションを行った経験を持つジャック・ボツランさんにインタビューした。

「L-39C アルバトロス」を7機保有し、世界のナショナル・チームに匹敵する高度な技術を持つ。そんなブライトリング・ジェット・チームを率いるボツラン氏は、驚くことに民間パイロットの出身だという。

「1970年代、当時すでに伝説的なパイロットであったボブ・フーバー氏のパフォーマンスを見て、エアロバティックスのパイロットになりたいと思いました。第二次世界対戦当時は戦闘機のパイロットだった人で、戦後にエアロバティックスの創始者の一人に数えられる人物なのですが、ビジネススーツを着て、ハットを被って飛んでいたのがカッコ良かったんです」

大人になったあともその憧れを保ち続け、ボツランさんはフランス空軍に応募する。が、視力がわずかに足らずにフランス空軍には入れなかった。民間のエアロバティック・チームで30年以上の経験を積んだ後、ブライトリングからジェット・チームを編成するオファーを受ける。

「そのときは、『夢ではないか』と思いました。一人のパイロットとしてブライトリングのファンでしたし、理想のジェット・チームを編成できるチャンスですから」

最初に買ったブライトリングの腕時計は、今でも大切に持っているという。そして現在、彼の腕にはブライトリング・ジェット・チームのロゴが入った「クロノスペース」がはめられている。スイスの高級腕時計メーカーであるブライトリングは、1936年に英国空軍に採用されて以来、航空時計の分野で名を馳せており、各国のナショナル・チームに採用されるなど、プロフェッショナル・パイロット向けの視認性や耐久性に優れるモデルを制作している。パイロットの愛好者が多いだけではなく、アビエーションとの関係性の深さから航空ファンにも人気がある。

独自のジェット・チームを編成する以外にも、女性パイロットの世界チャンピオン選手権をサポートしたり、各国で開催されるエアショーのサポートを行うなど、アビエーションの世界との関係を重視している。リノ・エアレースのサポートも20年以上続く古い関係だ。

「リノ・エアレースの会場であるステッド空港は標高1539mと高度が高いのが特徴です。気温の差も激しく、今日のように温度が高いことも難しさを増します。また、アメリカ連邦航空局のレギュレーションに合うように、また安全な距離を保つために、角度やエアロバティックスの内容を変えるなどもしています。そして、もっとも重要なことは地上から見たときにダイナミックに見えるように内容を組み立てることです」

エアロバティックスを行う上で、ポジションは大変重要で、一度決めたらメンバーが変わらない限り、変更しない。一般にナショナル・チームでは1~2年でパイロットを変えるが、ブライトリング・ジェット・チームでは、同じパイロットに可能なかぎり長く所属してもらうことを重視している。

「ブライトリング・ジェット・チームでは、日々、トレーニングを重ね、技術面だけではなく、チームワークも重視してパイロットを育成しています。だからこそ、彼らが長くチームにとどまってくれるように心がけています。パイロットの育成には大きな資金が必要ですし、なによりも、お互いをよく知り、コミュニケーションをスムーズに取れることが大切なのです」

今後、ブライトリング・ジェット・チームは、「NAVAL BASE VENTURA COUNTY AIRSHOW」、「MCAS MIRAMAR AIRSHOW」、「WINGS OVER HOUSTON AIRSHOW」などのエアショーでエアロバティックを披露する予定だ。

◆Jacques Bothelin ジャック・ボツラン氏
1954年、フランス・ディジョン生まれ。1980年の初飛行以来、145種類以上の機種を操縦し、1万2000時間以上の飛行経験を持つ。フランス随一のエアロバティックを専門とするパイロットであり、2003年からブライトリング・ジェット・チームを率いる。

《川端由美》

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