【三菱 アウトランダーPHEV 試乗】音もなく一気に加速する様はまるでゴースト…中村孝仁

試乗記 国産車

三菱 アウトランダーPHEV
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かつてロールスロイスは、卓越した静粛性を持ったクルマを『シルバーゴースト』と名付けてその名声を確立した。三菱『アウトランダーPHEV』はその静けさだけを形容すれば、まさにゴーストの名が相応しい。

先代のPHEV登場から約2年。今回のモデルはマイナーチェンジ版だが、外観の変更からシャシーの手直し、さらにはPHEVの制御見直しなど、その変更は多岐にわたる。まあ、外観はご覧の通り。従来よりもアグレッシブなスタイルに変わったと思う。インテリアもかなり大幅に手直しされて、見た目の質感は上がっているのだが、使用している素材は実際に触ってみると決して良質ではなく、最低でも359万6400円するクルマとしてはまだチープ感が強い。

事前に説明員と称する商品力評価部、プロダクト評価担当のメンバーから聞いた話では、静粛性向上に力を入れ、遮音材の増強やダイナミックダンパーの追加などによってエンジン音、ロードノイズ、風切り音を低減しているという。特に走行中EV走行からエンジン走行に切り替わるときの制音には注力したそうだ。また、主として静粛性向上の目的で、フロントサスペンションにはクロスメンバーを追加しているが、こちらは剛性アップにも当然ながら寄与している。

借り出した試乗車のメーターを見ると、EVでの走行は残り13km。理想条件下でフル充電のバッテリーを使えば60.8kmも走るそうだが、それでも一般道の走行はアクセルを思い切り踏み込まない限り、ほぼEV走行で通した。しかもその加速の良さとスムーズな走りはまさに冒頭述べたゴーストのよう。ほぼ無音でぐんぐん加速する様は電気自動車ならではである。

御殿場インターから高速に入る。ループを回って本線に合流。ここからの加速も極めて鋭い。言われていたEVからエンジンへの切り替わりは、ロードノイズなどにかき消されてしまいほとんど感知することはできないほどで、説明を受けたとおりだった。また、一般道における静粛性の高さも、先代よりも明らかに向上している。

何故それがわかるかというと、実は同時に旧型を同行させて試乗したからだ。さすがに旧型は1万8600kmを走行したもので、新車ではない。当然ながらそれなりのヤレがあるが、それを差し引いてもニューモデルとの対比では明らかにニューモデルの静粛性が向上していた。

高速走行時をのぞき、基本はモーター駆動のシリーズハイブリッドであるアウトランダーPHEVだが、何故かステアリングコラムにパドルシフト風のスイッチがついている。このパドルは回生ブレーキのレベルを調整するもので、B0~B5まで6段階に切り替わるということだ。シフトしても加減速しないのでおかしいと思った。勉強不足で乗った結果である。しかも、通常パドルシフトはステアリングポスト右がシフトアップ、左がダウンシフトなのだが、この回生ブレーキセレクターは右が回生ブレーキ力を弱め、左が強めるようになっていて、右のパドルを引くと何となく止まらない感覚になっていく。勿論フットブレーキを使えば何ら問題はない。

ハンドリングには恐らく色々な意見があると思うが、個人的結論から言えば、このクルマにはふさわしく無いハンドリングのように思えた。というのも、このクルマのハンドリングの味付けは、まるでクロカン四駆のそれ。特に中心付近がダルでステアリングを左右に細かくゆすってもほとんど無反応である。

確かにクロカン四駆ならこれでOK。しかしアウトランダーはソフィスティケートされたクロスオーバーだ。だからよりダイレクト感の強いシャープなハンドリングの方が相応しいと思うのだが、残念ながらそうはなっていない。高速で左右にステアリングを振ると明かな位相遅れが出てくる。また、乗り心地に関してもやはり味付けがオフローダー的で、特にリアのバネ下の重さを感じるものだった。感覚的にはいわゆるドタツキ感の大きなもの。このあたりが修正されて来れば、ゴーストのように静粛性の高い空間の良さが活きてくると思う。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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