【フォード クーガ 試乗】走破性能や疲労度の少ないシートなど、高い実用性が特徴…西村直人

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フォード『クーガ』はプロペラシャフトをもつ本格的なSUVでありながら、『フォーカス』とプラットフォームを共有するため市街地ではかなり上質な乗り味が楽しめる。

2013年に国内導入された1.6リットルエコブースト(ターボ)エンジンモデルの印象を振り返ってみると、ゆったりと身を預けられ、それでいて各部の調整機構により適正なシートポジションが一発で探し出せるシートなど、運転操作系統へのこだわりが強かったモデルであったことを思い出した。

今回、パワーユニットが大幅に変更になった。従来の1.6リットルが整理され、1.5リットルと2.0リットルのエコブーストエンジンの2本立てとなったのだ。

スペックについては複数のレポーターによる報告に詳しいが、西村としてはフォード初のアイドリングストップ機能が付いた1.5リットルモデルをベターチョイスとした。日本の道路事情、とりわけ都内の渋滞路から都市高速といった走行シーンではその印象が強い。

具体的には、1.5リットルのパワー/トルク(182PS/240Nm)と6速AT(トルクコンバータータイプ)の相性は余裕こそ少なく頻繁なシフトダウン&アップが繰り返されるが、結構な登り勾配路であってもDレンジのまま適切なギヤ段を瞬時に選び出し登り切ってしまう。

軽量化の進む昨今では、クーガのように車両重量1700kgクラスのボディは重量級に属するが、欲しいところでトルクを生み出すダウンサイジングターボとの組み合わせは、前走車を追い抜きたいといったちょっとした加速時であってもタイムラグなく素直に反応してくれる。もっともパワー&トルクウェイトレシオからすればそれほどの余裕はないが、それでも発進加速時の伸びや都市高速における合流路での力強さは好ましい。

一方、2.0リットルモデルは242PS/345Nmと強力で、同じく6速ATとの組み合わせながら、変速ステップ比は明らかに1.5リットルモデルよりも大きく、また絶対的なトルク値が大きいことから登り勾配路であってもキックダウンを抑えたアクセルワークのまま走りきる実力をもつ。また、5000rpm以上のエンジン回転域ではステアリングに僅かなバイブレーションを伴いながら、勇ましいエンジン音とともに力強い加速力も味わえる。

ゆとりある2.0リットルモデルの特性だが、唯一残念なことがある。それはDレンジのままではシフトレバー右のマニュアルシフトスイッチ(サムスイッチ)が機能しない(1.5リットルモデルは機能する)ことだ。もっとも、セレクターレバーをSレンジに移動させれば機能するのだが、ちょっとした下り勾配路でエンジンブレーキを必要とする際は、正直その動作がもどかしい。たとえば、Sレンジに移動させた際には、1速ダウンシフトされるだけでも使い勝手は大幅に向上するのではないか…。

国産SUVモデルのようなハイブリッドモデルや高速域まで機能する自律自動ブレーキ機能はもたない(30km/h以下で機能する赤外線レーザータイプはある)が、インテリジェントAWDによる走破性能や、ロングランでも疲労度の少ないシートなど高い実用性が特徴のクーガ。独創性を求めるユーザーにはとくにオススメしたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

西村直人|モータージャーナリスト
1972年1月東京生まれ。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2015-2016日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

《西村直人@NAC》

西村直人@NAC

クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事。2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員。日本イラストレーション協会(JILLA)監事。

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