【INDYCAR 第5戦】インディGPは王者ウィル・パワーの完勝…琢磨が今季最高9位に

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#1 パワーが今季初優勝。
  • #1 パワーが今季初優勝。
  • ポール・トゥ・ウインでインディGPを制したパワー。
  • 左から3位モントーヤ、優勝パワー、2位レイホール。
  • スタート直後のアクシデントシーン。
  • #14 佐藤琢磨は今季初のトップ10フィニッシュ(9位)。
  • インディ500での活躍も期待される佐藤琢磨。
  • #15 レイホール(先頭)がホンダ勢最上位の決勝2位に。
  • #2 モントーヤは決勝3位、ポイントリーダーの座を守った。

インディカー・シリーズ第5戦の決勝が現地9日に実施され、前年のシリーズ王者ウィル・パワーがポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。佐藤琢磨は今季最上位となる9位でフィニッシュ。

5月はインディを戦う者たちにとって特別な月だ。月の後半に控える米国最大のレースイベント「インディ500」(シリーズ第6戦)に向けてすべてをフォーカスさせていくことになるが、昨年からインディ500開催前に同じインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で前哨戦的に開催されるようになったのが、この第5戦“インディGP”である。

前哨戦的なレースとはいっても、コースは異なる。インディ500で使用する伝統のビッグオーバルの一部と、その内側のロードセクションを組み合わせたコース、かつてはF1アメリカGPの開催舞台でもあった“インディアナポリス・ロードコース”がインディGPでは使用される(コースレイアウトにはF1開催時代とは異なる部分もある)。

82周のレースは、スタート直後に多重クラッシュこそ発生したが、その後は大きなアクシデントなく推移。F1的なピットストップ攻防を巡る緻密なレース展開となっていくが、そこで完勝劇を披露したのが、ポール発進の王者パワー(#1 Team Penske/エンジンはシボレー)だった。

パワーはピットストップ時期以外は実質の先頭を譲らぬ走りで逃げ切り優勝。終盤、2位のグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)が2秒前後のところまで迫りはしたが、これといったピンチには見た目上、遭遇しておらず、圧勝と言えないまでも完勝で今季初優勝を飾った。

「今月は(このIMSで)4つ、誰もが1番になりたいセッションがある。GPの予選と決勝、そして500の予選と決勝だ」と語るパワーは、GPのポール・トゥ・ウインによって「それ(全部1番になること)が可能になったし、それが今月のゴールだ」とも語っている。「シリーズチャンピオンを昨年獲得した私は、今、インディ500初制覇に集中している。それにGPと500の両方で勝てるとしたら、それは信じられないことだよね」。王者パワー、勝利の余韻に浸るよりも、悲願の500獲りをGPとのダブル・ポール・トゥ・ウインで成し遂げることに向け、早くも意気軒昂な様子である。

2位のレイホールは予選17位からの浮上だった。1回目のピットストップをパワーら上位陣よりも後ろに引っ張るなど燃費を意識したと思われる戦略的な走りが奏功し、2戦連続の2位フィニッシュ。予選ではシボレー勢に1~10位を独占されたホンダ勢において、救世主的な活躍を決勝で演じた。「マシンにはとても安定感があった」と語るレイホールは、「ホンダは休みなしのハードワークで開発を続けてくれている。エンジンもエアロキットもさらに速くなるだろう。そうすれば強敵に今以上に対抗することができる」とも話している。

3位はファン・パブロ・モントーヤ(#2 Team Penske/シボレー)で、以降8位まではシボレー勢が並んだ。4位はセバスチャン・ブルデー(#11 KVSH Racing)で、5位にチャーリー・キンボール(#83 Chip Ganassi Racing)、6位がエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske)。

今季はこれで5戦ともウイナーが異なるシリーズ展開となっているが、ポイントリーダーの座は開幕ウイナーのモントーヤが死守している。ポイント2位は5点差のパワーで、さらに5点差でカストロネベスと、シリーズ上位をTeam Penske勢が独占中。

佐藤琢磨(#14 A.J.Foyt Racing/ホンダ)は22番グリッドという苦しいスタート位置だったが、1周目の混乱をうまく抜けると、その後はほぼ10位台前半のポジションでレースを進め、最終的には今季最高の9位フィニッシュを果たすこととなった。

佐藤琢磨のコメント
「とてもいい一日にできました。レースを楽しめましたね。1周目のアクシデントの時は、目の前で起こっていることのすべてを冷静に見ていました。そのおかげで大きくポジションを上げることができたんです。タイヤのラバーが乗って路面状態が良くなってきてからは、マシンのハンドリングも良くなってハイペースで走り続けることが可能になりました。クルーたちがピットストップで素晴らしい仕事をしてくれ、コース上で何台かをパスすることもでき、トラブルなし、ミスもなしのレースを、今日の私たちのチームは戦えました」

インディアナポリス(ロードコース)といえば、琢磨にとっては04年のF1アメリカGPで3位表彰台に立った地でもある。メモリアルスポットで上昇気流に乗った彼には、ぜひとも3年前に優勝目前まで迫ったインディ500、その初制覇という快挙を期待したいところだ(シボレー勢優位な今季ではあるが、シーズン初のオーバル戦でもあるインディ500で戦況が変わる可能性はある)。

全米、そして世界が注目する第99回インディアナポリス500マイルレース(今季シリーズ第6戦)は、現地24日に決勝を迎える。

《遠藤俊幸》

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