【ダンロップ VEURO VE303 試乗】乗り比べで実感した特殊吸音スポンジの効果、乗り心地も向上…斎藤聡

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特殊吸音スポンジを採用したダンロップ VEURO VE303 で試走
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  • 斎藤聡氏
  • ダンロップ VEURO VE303
  • トヨタ マークXでVEURO VE303とエナセーブEC203を履き比べ
  • ダンロップ VEURO VE303
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  • エナセーブEC203

「 VEURO(ビューロ)VE303」はダンロップのプレミアムコンフォートタイヤで、高級車をターゲットに快適性や静粛性を重視したタイヤだ。特にノイズの低減に力を入れて開発されており、トレッドパターンでは、ラグ(横)溝容積を少なくすることでパターンノイズの低減を図っている。

構造面ではハイブリッドバンドと呼ばれる剛性が異なる2本の糸を撚(よ)って作ったコードを、スチールベルトを抑えるバンドとして採用することで、トレッドから侵入してくるロードノイズを低減している。しかし何よりも特徴的なのは「特殊吸音スポンジ」を採用して、大幅なノイズの低減を図っていることだ。

VEURO VE303は快適性だけでなく、操縦性も重視しており、ハイブリッドバンドによるトレッド面剛性アップや、ストリップエイペックスと呼ばれるサイドウォール部の補強帯を採用することで、タイヤとして最も重要な操縦性の向上も図られている。

同時にVEURO VE303は転がり抵抗A、ウエットグリップbのエコタイヤでもある。低発熱密着ゴムというパウンドを採用することで、転がり抵抗を低減しながら、確実なウエットグリップ性能を発揮する。

今回はまず、「特殊吸音スポンジ」にフォーカスし、その効果を知るために吸音スポンジを採用していない「エナセーブEC203」と吸音スポンジ付きのVEURO VE303を『マークX』(250G)で履き替えて試乗してみた。

トレッドパターンもタイヤ構造も異なり、そもそもタイヤのカテゴリーが違うので比較になるのか? と思ったのだが…。恐らく誰が乗っても250Hz付近のノイズが少なくなっているのを確認できるのではないかと思う。

このノイズの音域はちょうど耳がざわざわと騒がしく感じる、ちょっと高めの音域で、タイヤをたたいた時にバイーンと弾むような音。これが連続して耳のあたりをざわつかせるイメージだ。その騒がしさがグッと抑えられた感じになる。もちろんパターンノイズや、ハイブリッドバンドの効果によるタイヤのほかの音域のノイズの低減等々、全体に耳障りな尖った音が抑えられ、マイルドになっているように感じられる。ノイズの質が全体にマイルドで、高級・高質な印象がある。

じつはVEURO VE303で感心したのは、ノイズの少なさだけではない。操縦性がすごくしっかりとしていることだ。静かなタイヤというと乗り心地もセットになっていて、ソフトで柔らかなイメージがあるが、VEURO VE303はむしろダンピングが適度に効いていて、乗り味に心地よい張りがある。ストリップエイペックスというサイドウオールの補強帯を採用することで、ダンピングの効いた乗り味を作り出しているのだ。サイドウォールの補強はタイヤのねじり方向にも剛性を高める効果を発揮しているのだろうと思う。ハンドルを切り出した時タイヤがよじれるような動きを見せず、操作した方向へ素直にタイヤが転がっていってくれる感覚が強い。

静粛性が高く、乗り味がマイルドでありながら操縦性はとても素直。シャープというよりはハンドル操作にタイヤの動きが遅れなくついてくるといった感覚。快適性と高い操縦性を当たり前のように両立しているところがVEURO VE303の一番の魅力ではないかと思う。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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