【スズキ アルト 試乗】現状ではおそらく世界一のロボAT…諸星陽一

試乗記 国産車
スズキ アルト F AGS
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1979年に初代が登場したスズキの軽自動車『アルト』。昨年発売された新型は8代目というロングセラーモデル。

試乗車の「F」はAGS(オートギヤシフト)と呼ばれるロボATが装備されるモデルが用意されている。AGSは一般的なATとは異なり、MTのギヤボックスをベースに自動変速を可能にしたもの。仕組みは簡単で、ドライバーが行っていたクラッチとギヤチェンジの操作をギヤボックスに取り付けられた油圧装置が行うもの。

世界中で同様のシステムが多くの車種に採用されているが、アルトのAGSは非常に出来がいい。AGSはMTと同じ構造なのでギヤチェンジの際、クラッチが切れた瞬間に加速感が失われる。この時間をいかに短く、またクラッチが再度つながった際にいかにスムーズにショックなくするかが、AGSの出来のよさに関係してくるが、アルトのAGSはそれがストレスのないレベルにまとめられている。車重が軽いのもAGSとのマッチングがいい理由のひとつとなっているはず。

フル加速をすると多少はギクシャク感がでるが、それは普通にMTを操っていても同じように起きる。MTの場合は構えているから、あまりそれを大きく感じることはないのだ。アルトのAGSのいい部分はクリープ現象を作り出しているところ。通常のATと同じようにブレーキペダルを離すと、半クラッチ状態となりクルマが前に進み出す。一般的なATのようにトルコンの作用でクリープが起きているわけではないため、登り坂などでクリープを使って停止するような行為をするとクラッチトラブルになりかねないので注意が必要だ。

AGSモデルに搭載されるエンジンは52馬力/6.4kgmのVVT付き3気筒。車重が610kgと軽いこともあり走りは機敏だ。JC08モード燃費は通常のATが37.0km/リットルなのに対し、29.6km/リットルとなるが、AGSモデルが設定されるFグレードはアイドリングストップが付かないなどの差があるので、実用燃費だと少し話が異なってくるだろう。Fグレードはほかにもさまざま装備を簡略化したモデルで、車両本体価格は84万7800円とリーズナブル。なんと5MTと価格が同じだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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