ホンダが2月20日に発売した新型『レジェンド』。同車には先進のハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド SH-AWD」が搭載されているが、車名に「ハイブリッド」を用いていない。その理由を開発主査、青木仁氏は「エコではなく、新パワートレインの創造に重きを置いたため」と語る。
新型レジェンドの開発主査、青木仁氏は「ハイブリッドとはあえて銘打ってはいない。ハイブリッド=エコと考えられがちだが、新型レジェンドが目指したのは、新しいパワートレインの創造。環境性能はクリアした上で、より走りの性能を高める為に、3モーター式のハイブリッドとなった」と語った。
新型レジェンドは、3.5リットルV型6気筒エンジンに7速DCTを組み合わせ、一基のモーターを内蔵。そして左右後輪にそれぞれ独立してモーターを備え、車両の状態や路面状況、コーナリングによって最適なトルクを配分する。
DCTに内蔵されたモーターは、大パワーが必要な状況以外は発電機として駆動され、後輪モーター用の電力をバッテリーに供給する仕組みだ。ちなみに後輪モーターも状況に応じて発電を行ない、回転エネルギーを無駄なく回収する。
3モーター式となったスポーツハイブリッドSH-AWDでユニークなのは、ハイブリッド車に多く見られる「エコモード」を備えず、変わりに「スポーツモード」を備えている点。スポーツモードを選択するとエンジンが常に回転し、かつギア段が低めとなりエンジン回転数が高めになる。
そして上昇したエンジンパワーを利用することでDCT内蔵モーターの発電効率が高まり、その電力で後輪のモーターを積極駆動して、より自在な走りが可能となるのだ。
青木氏は「ノーマルモードが環境性能とパワーの両立を既に達成している。その上でより走りに振ったスポーツモードを設定した。走りの楽しさを失ったら“ホンダのクルマ”ではない。レジェンドが初代から守り続けている“ドライバーズカー”という価値を新型にも受け継いだ」と語った。