【ブリヂストン REGNO 試乗】「グレートバランス」タイヤを西湘バイパスの継ぎ目で試す

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10日、大磯ロングビーチの特設会場で開催された新型「REGNO(レグノ) GR-XI / GRVII」の試乗走行会では、西湘バイパスと小田原厚木道路を含んだ試乗コースが設定された。

西湘バイパスといえば海岸線から高架になった自動車専用道路で、昔から橋脚部分の「継ぎ目」が多い道路として有名だ。現在は舗装もよくなり改修が進んで昔ほど走りにくい道路ではなくなっているが、その名残は十分でタイヤやサスペンションの特性を見るには良い(酷な?)道路でもある。

試乗したのはトヨタ『クラウン ハイブリッド』、メルセデスベンツ『E300』、トヨタ『アルファード ハイブリッド』の3台で、装着タイヤなどは以下のようになっている。

クラウン ハイブリッド:REGNO GR-XI:215/55R17
E300:REGNO GR-XI:245/45R17
アルファード ハイブリッド:REGNO GRVII:215/65R16

なおGR-XIは、2015年1月に発表されたばかりのタイヤで、乗り心地・静粛性・ハンドリングなど高い次元でバランスさせたREGNOシリーズの最新モデルだ。特徴は、現行のXTシリーズより、ノイズ吸収シートの改良、リブパターンに設けたサイレンサー構造の進化、新しい乳化剤によるシリカ配合の最適化などによって、静粛性、ハンドリングをさらに向上させている。ノイズ吸収シートやサイレンサー(ダブルブランチ型消音器)は、騒音を抑えるだけでなく、リブやトレッド面の剛性アップによる音質の改良やハンドリング性能の向上、ライフの向上などにもつながっている。コンパウンドや化合物の最適化は、エコタイヤの技術を応用したもので、転がり抵抗を下げつつウェット性能も確保することに成功している。実際、GR-XIとGRVIIは、エコタイヤのラベリング制度にも対応している(A-bグレード)。

GRVIIもGR-XIと同時に発表されたミニバン専用のREGNOだ。改良ポイントはXIと同じであり、ミニバン専用のため横剛性の最適化、レーンチェンジの応答性と揺り戻しの収まりを良くしたバージョンだ。

まず、一般道や高層道路での試乗だが、どの車もロードノイズがあまりこもらない。そして「シャー」というパターンから発生する高周波ノイズがかなり抑えられている。どちらも長時間聞いていると不快に感じる音だが、それらがうまくコントロールされている。長時間の運転でその違いを感じるのではないだろうか。ちなみに車内の騒音というレベルだと、クラウンがいちばん静かだった。次にEクラス、アルファードと続くが、これはエンジン音や風切音も含めての全体の騒音なので単純な比較にはならない。Eクラスはむしろエンジン音が心地よいくらいであり、タイヤがREGNOクラスに高い静粛性を持ってくると、あとは好みの問題になってくるのかもしれない。ブリヂストンの担当者も、XIでは開発に音響工学を採り入れ、静かにするだけでなく心地よい音質も追及したという。

ロードノイズなどがどれくらい静かなのかの目安とするため、走行中にラジオをつけてみたところ、一般道から高速道路に入っても、クラウン、Eクラスはボリューム調整はほとんど必要ない。ボリュームをひとつか2つ上げるだけで、ラジオの会話も音楽も楽しめるレベルだ。

乗り心地はどうだろうか。サイズや扁平率のためアルファードがいちばん乗り心地がよかった。ギャップの吸収も突き上げ感は一般道や高速道路でもいちばんなめらかに通過していた。かといってクラウンやEクラスの乗り心地が悪いということではない。高速道路とはいえ舗装を打ち直した直後以外は、微妙なうねりや凹凸が存在する。他の車では拾ってしまうようなうねりや小さいギャップはほとんど意識せず通過できる。クラウンやEクラスをXIで試乗していて、西湘バイパスや小田原厚木道路はこんなに舗装がきれいだったのか、と思ったくらいだ。

GR-XI 、GRVIIは静粛性の向上と環境性能の向上のため、タイヤ全体の剛性が高くなっている。これは応答性の良さ、ハンドリング性能の向上にもつながるが、反面乗り心地には悪影響を与える要素である。走行中の乗り心地は、高度な3次元シミュレーションやセンサーを使った走行中の実際の接地面や接地圧を可視化する設計技術により、硬さを感じることはないが、さすがに路面の継ぎ目などはどうしても拾ってしまう。

アルファードに装着されたGRVIIは65扁平ということもあり、「ボコッ」という小さい音だけで突き上げ感はあまり感じられない。しかしクラウン、EクラスのXIは、西湘バイパスの大きい継ぎ目の音が際立ってしまう。継ぎ目以外が静かすぎるのでよけいに意識してしまうからかもしれない。いずれにせよ、ギャップで跳ねるとかトラクションが抜けるとか恐怖心につながるような音や動きはない。

他に気になった点を挙げるとすれば、ハンドリング性能が向上し応答性が良くなったため、重い車や古いタイヤの感覚でレーンチェンジなどすると、思ったよりクイックに動くことだ。乗り心地がよいのでハンドリングもワンテンポ遅れるだろうなどと予想すると、これは裏切られる。レスポンスがいいのは悪いことではないが、乗り心地という点では、あまりシャープな特性は好みの分かれるところだろう。また、ギャップやうねりをタイヤで消し去ってしまったら、路面からの入力というドライバーにとって必要な情報を遮断してしまうことにもなる。バランスさせるというのは、乗り心地や騒音、運動性能などどれかを極端によくすることではないと言えるだろう。

《中尾真二》

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