【マツダ アテンザ 試乗】スタイリッシュな姿にガソリンエンジンの選択が粋…吉田匠

試乗記 輸入車
マツダ アテンザ
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横浜の試乗会では、『CX-5』と基本プラットフォームを共用する『アテンザ』の「セダン」&「ステーションワゴン」にも乗った。今回の試乗車で僕が選んだのはセダンの「25S L Package」という最上級モデルで、エンジンは昨今のマツダ車では主流になった観のあるディーゼルではなく、敢えて2.5リットルのガソリン4気筒エンジンを選んでみた。駆動方式はFWD=前輪駆動である。

アテンザというクルマの大きな魅力のひとつは、そのスタイリングにあるといっていい。特にその、抑揚のあるフェンダーラインの上にクーペ風のキャビンが流れるように被さる伸びやかなプロフィールには、同じDセグメントのヨーロッパ車をも凌ぐカッコよさがある。ただし、全長4860×全幅1840×全高1450mmというボディサイズ、なかでもその全長は、このクラスとしては少々大きすぎるきらいがあるのも確かだが。

試乗後、チーフデザイナーと話していて面白いことを知った。実は現行アテンザの、セダンの方がステーションワゴンよりホイールベースで80mm、全長で60mm長いというのだ。そんなこともあって、日本やヨーロッパでは、どちらかというとステーションワゴンの人気が高い一方で、セダンは北米市場を得意としているらしい。

キャビンに収まっても、ダッシュボードやドア内張りには流れるようなラインが配されて、そのスタイリッシュな印象は室内にも反復される。さらに、シートを含むインテリアの仕上げのよさにも、マツダのトップモデルに対する気配りが伺える。流麗なルーフラインにもかかわらず、リアシートにはヘッドルームを含め、不足のない空間が確保されている。

CX-5から乗り移ったから当然だが、運転席の着座位置は低く、スポーティなドライビングポジションがとれる。CX-5の見晴らしのよさも好ましいが、低い姿勢に落ち着くのも悪くない。これも19インチタイヤが標準だが、バネ下の重さを衝撃によって意識させられることはなく、滑らかな乗り心地が得られる。大黒PAからベイブリッジに合流するループで味わったコーナリングも、腰の据わった印象の安定したものだったが、できればステアフィールにもうワンステップ、明確な接地感が欲しいと思った。

では、直4直噴ガソリンエンジンはどうか? 13.0の高圧縮比によって2.5リットルから188psと25.5kgmを出すそれは、トルクの押し出しの強さではターボディーゼルに及ばないが、心地よいサウンドを奏でながら6000rpmを超えるトップエンドまでスムーズに回り切ってアテンザを気持ちよく加速させ、ガソリンエンジンならではの魅力を見せつけてくれた。ディーゼルばかりがもてはやされる昨今のマツダだが、ガソリンも捨てたもんじゃない。

もちろんディーゼルの選択も充分にアリだが、スタイリッシュなアテンザには敢えてスポーティなガソリンエンジンで乗る、というチョイスも粋かもしれない。いずれにせよ、このスタイリングに惚れ込んだ御仁は、思い切って購入に走ってもいいクルマだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★☆
オススメ度:★★★★

吉田 匠|モータージャーナリスト
1947 年生まれ。子供の頃からのクルマ好きが高じて、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。同誌ではスポーツカーのロードテストなどを主として担当し、ヒストリックカー、ツーリングカー、FJなどのレースにも参戦、優勝経験もけっこうあり。後にフリーランスのモータージャーナリストとして独立。自動車専門誌や一般誌に記事を執筆し、今日に至る。旧いクルマに造詣が深く、愛車の一台は1962年ポルシェ356B。

《吉田匠》

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