気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2014年12月16日付
●経済対策年内に策定、首相会見(読売・1面)
●羽田3路線、日航と運航、スカイマーク方針、全日空とは「地方」含め検討(読売・8面)
●燃料電池車「ミライ」販売開始、トヨタ、官公庁など受注1000台(読売・8面)
●エコカー減税延長へ、来春以降も、燃費基準は厳しく(読売・9面)
●景況感まだら模様、日銀短観、強気の企業も(朝日・7面)
●燃料電池車広がる商機、部品や水素供給参入次々(朝日・9面)
●日立、ABBと合弁、日本で送配事業(日経・1面)
●日産、日立建機に供与、車周囲の移動物検知技術(日経・15面)
●ロシア企業と部品購買一本化、仏ルノー(日経・15面)
ひとくちコメント
「受注1000台」と聞いて、「そんなもんか」と思った人もいれば、「すごい」とびっくりした人もいたことだろう。トヨタ自動車が世界に先駆けて一般消費者向けの燃料電池車(FCV)『MIRAI(ミライ)』の発売を開始した。
きょうの各紙にも「燃料電池車 ミライ 販売開始、トヨタ、官公庁など受注1000台」などと、取り上げているが、「生産台数が年700台と限られているため、販売店には並ばず、記念イベントなども予定していない」(朝日)という。
各紙の見出しも、産経が「静かな走り出し」とすれば、日経も「静かな出足」と静かに幕を開けたことを“おおげさ”に伝えている。
もっとも、日経は衆院選で大勝した安倍首相が記者会見で「ミライに言及した」ことを取り上げて、「車道を商業用で走らせるには、水素ステーションも併せて規制を緩和しなければならない」と、援護射撃をしたそうだ。肝心かなめの豊田章男社長の販売開始のコメントもないのに、ときの首相が公の会見で発言するというのも珍しい。
どうも、世界初の「ミライ」の販売に大はしゃぎするのは、メディアと補助金を交付する政府関係者であり、納車に2年も待たされるユーザーのことを考えれば発売元のトヨタは冷静な対応をせざるを得ないのが実情だろう。