ZF傘下ザックスの二輪車用セミアクティブサス…欧州3メーカーに採用される多様性

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ザックス セミアクティブサス開発車両
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  • ザックス セミアクティブサス開発車両(BMW R1200GS)
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セミアクティブサスペンションは、走行中に変化する条件に合わせて、減衰力を随時最適化させていくシステムである。バネ特性も含めて変化させる(フル)アクティブサスではないので、セミ・アクティブと呼ばれる。

独自動車部品サプライヤー大手のZF傘下、ザックスのCDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール=減衰力連続可変制御)は、まさにこのセミアクティブサスであり、すでに数車種のバイクに採用されている。

作動原理は、バネ上とバネ下に設けた加速度センサー、もしくはストロークセンサーから前後サスの動きを検知、これに加え、車輌の加速度や速度、ブレーキ液圧などから最適の減衰力を算出し、減衰力を1000分の1秒単位で制御するというものだ。

CDCダンパーのバルブ部には、プロポーショナルバルブ(比例制御バルブ)という電磁バルブが設けられ、電子制御で送り込まれる電流によって、オイル流路が逐次、変化。これにより伸び圧減衰力は、減衰力速度特性図において、平行移動するように変化していくことになる。

すでに、欧州の3メーカーが採用しているが、その呼称やコンセプト、センシング技術は、それぞれ微妙に差異を見せる。

BMWはDDC(ダイナミック・ダンピング・コントロール)と呼び、前後にストロークセンサーを備え、車輌のトラクションコントロールやABSと連携し、減衰力が制御される。『HP4』や『S1000R』のテレスコピック式フォークは、ストロークセンサーの装着が困難(市販車では破損の恐れがある)なため、これを持たず(HP4はオプションで用意される)、車輌の加減速度やブレーキ圧で制御される。

ドゥカティは、ストロークセンサーに代わり、前後サスのバネ上とバネ下に加速度センサーを設ける。こうしたセンシングにより、バネ上が空に吊らされているかのように安定しているというスカイフック理論を実現しており、DSS(ドゥカティ・スカイフック・サスペンション)と名付けられる。

また、アプリリアは、フロントフォークに圧力センサーを設け、ストロークをセンシング。電子式プリロード調整機能を発展させた自動車高調整機能が加わっており、ライダーの体重や積荷の有無によっても、初期の車高を一定に保てるようになっていて、ADD(アプリリア・ダイナミック・ダンピング)と名付けられている。

更なる発展を予感させるCDCなのである。

《和歌山 利宏》

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