10点を投票したメルセデスベンツ『Cクラス』の推薦理由は以下の通りです。
推薦理由1点目。今や、クルマ選びの指標としてそれ抜きに考えられなくなったADASを、余すところなく、しかも低価格で装備できるところ。
推薦理由2点目。搭載するADASは、センサーの性能だけが一人歩きするものではなく、ドライバーとの対話を中心に、実際の道路環境においてヒヤリハットを防止したり、快適な長距離ドライブを支援してくれたりするものであり、時として、実際の衝突被害軽減効果も高いところ。
推薦理由3点目。飛び抜けたエンジンスペックをもたないが、実際の道路環境において優れた燃費数値を発揮するとともに、その取り回しの良さから、毎日のちょっとした移動の際にも気兼ねなく運転できるところ。
イノベーション部門には以下の理由で『スカイライン』に10点を投じました。
「グローバル市場に向けて市販化世界初」という冠がつくDASですが、その先進性は言うに及ばず、近い将来に向けた自律自動運転への技術的な羅針盤となるべく業界をリードするものであるため選考致しました。加えまして、DASの開発陣は現状に決して満足せず、日々進化させていくことに熱意を持っていらっしゃるところにも感銘致しました。
スモールモビリティ部門には以下の理由で2台にそれぞれ投じました。
『N-WGN』(8点)は、自動車アセスメントにおける軽自動車初のファイブスター賞には驚きましたが、それよりもなによりも、「しょせん軽自動車だから……」とユーザーをがっかりさせない細部にまで真心がこもったクルマづくりに感銘しました。歩行者保護性能と際立つデザインの両立も評価点です。
『ハスラー』(2点)は、初代『ワゴンR』が軽自動車市場に衝撃を与えた時に近いものを感じました。容積型だけが軽自動車の強みではないと証明して頂いたところも評価させて頂きました。
該当なしとなりましたが、エモーショナル部門には以下の理由で『i3』に10点を投じました。
ペットボトルなどにも使われるPETから製造されたリサイクル・ポリエステル素材をシートカバーに採用したり、天然素材のユーカリ材をインパネに採用したりするなど、クルマの成り立ちから新たな試みがなされた点をまず、評価させて頂きました。また、潜在的ユーザーの一般的な興味対象となる、電動駆動のメカニズムや航続距離、さらには急速充電のメリットをアピールの中心とせず、新しいパワートレーンを手に入れることの意義や意味を、「i3のあるカーライフ」として情熱的に表現している点にも感銘を受けました。奇抜と思われたデザインですが、発売半年ですでにi3らしさを感じさせる記号性へと成長したようにも感じます。さらに、i8へと続くiブランドが目指した「エモーショナルな走行性能」も、この賞にふさわしいものであると確信しています。
メルセデスベンツ『Cクラスセダン』:10点
マツダ『デミオ』:7点
BMW『i3』:4点
トヨタ『ヴォクシー/ノア』:2点
スズキ『ハスラー』:2点
西村直人:1972年1月東京生まれ。専門分野はパーソナルモビリティだが、広い視野をもつためにWRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席したほか、東京都交通局のバスモニター役も務めた。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。(財)全日本交通安全協会・東京二輪車安全運転推進委員会指導員