改良されたMINI『クロスオーバー』だが、外観の変わりようはごく僅か。グリルの意匠変更や、バックドアにバラ文字の車名エンブレムが付いた程度、だ。
が、“クリーン・ディーゼル”の搭載は、このクルマに新たな息吹を与えた…そう言っていい。搭載されるのは4気筒の2リットルターボディーゼルで、排気量もスペック(クーパーSDは143ps/305Nm)も、実に余裕がある。なので6速ATとの組み合わせで、ゆったりとも走れるし、山道でペースを上げて走る際もまったく不満は感じない。また街中を流す際も、高速巡航も、車内で感じる騒音の低さ、振動の小ささはよくできたガソリンエンジン車さえ凌ぐほど。
さらにデビュー当時にくらべ、乗り味が断然こなれて洗練されたことにも気づく。ひとことで言えば、なめらかだ。パワートレイン系の洗練度の高さと相まって、足回りの上等さは、このクルマの上質感を相当に大きく高めている。グレード名「SD」は“クーパーSのディーゼル”を表わすが、クロスオーバーでは18インチタイヤでも硬さ、粗さはまったく感じない。
ハッチバックより高めのアイポイントや、アイデア満載の実用的な室内空間など、相変わらずの心地いい空間だ。3名乗車までが可能なリヤシートも、スペース自体は十分なうえ、退屈感をおぼえない、独特の“前席との差別感のない共有された空間”の味わいがあるのがいい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。