その年の「日本一速い男」の称号をかけて争う、全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)。28日の第6戦(スポーツランドSUGO)を終えて、今季も残すは最終戦のみ。ドライバーズチャンピオン争いでは中嶋一貴が首位に立ち、計7人に可能性が残されることとなった。
最終戦(11月8~9日、鈴鹿サーキット)は決勝2レース制で、最終戦ボーナスもあるため、ドライバーズポイントの配点方法がいつもとは異なる。まず、ポールポジションへの1点が、第1レース(3段階ノックアウト予選Q1の1位)と第2レース(同Q3の1位)のそれぞれに与えられることになるので、予選日に最大2点獲得できる。決勝は短~中距離の2レースとなる見込みだが、各1~8位に8-4-3-2.5-2-1.5-1-0.5点。よって、最終戦での最大獲得可能ポイントは18点となる。
この18点は、最終的な同点時の“タイブレーク”に関しても(昨年と同じ規則理解であるなら)最強扱いとなる。要するに、現時点で18点差以内なら王座獲得のチャンスあり、そして自分が最終戦で18点獲得できた場合には他選手の最大獲得ポイントが4+4の8点なので、現在10点差以内なら自力王座の可能性あり、という理屈になる。
タイトル獲得の可能性を残すのは、下記7名(すべてトヨタエンジン勢)。
33点 中嶋一貴(#37 PETRONAS TEAM TOM’S)
29点 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 Lenovo TEAM IMPUL)
26.5点 アンドレ・ロッテラー(#36 PETRONAS TEAM TOM’S)
26.5点 ロイック・デュバル(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans)
23点 石浦宏明(#38 P.MU/CERUMO・INGING)
20.5点 ジェームス・ロシター(#3 KONDO RACING)
17点 国本雄資(#39 P.MU/CERUMO・INGING)
石浦までの5人に自力王座の可能性が残る計算だが、石浦、ロシター、国本はシリーズ戦の優勝経験がまだないだけに、まずは王座より1勝、というところだろう(国本にはシリーズ外のJAF-GPでのSF優勝経験はあり)。もちろん彼らの誰かが最終戦で初優勝して一気に王座まで、という線もあり得るが、得点の開き等も考慮した場合、やはり順当なら2009~12年の王者である上位4人のうち誰かが2度目の戴冠、という流れが予想される。
今回(第6戦)、オリベイラとロッテラーが揃って1周目に消えるという波乱の展開のなかで決勝2位となり、ランクトップに浮上した一貴は、「ずっと流れがつかめない週末で、きっかけさえなかった。6位という予選順位も、それで上出来なくらいの状況でした」とレース後に語っている。だが「今日はわるくないスタートが切れ、レースに向けてやったこと(セットアップ改善)もいい方向に働いたようで、ペースもわるくなかった。ここ数戦は出口が見えないような状況でもありましたが、光が見える状態で最終戦に向かえることになったのは良かったと思います」と、幸運も味方してのポイント首位浮上ではあったが、内容面にも上昇の手応えを得ているようだった。
ただ一貴は、まだ万全とは言えない心境だろう。それはここ2戦、予選でもうひとつ前に行けていないオリベイラとデュバルにも共通するところと思われ、やはりトータルの安定味ではロッテラーに一日の長があるように感じられる。いずれにしても、泣いても笑っても残りは1戦(2レース)。彼らは鈴鹿で今季の雌雄を決することになる。
(なお、SFにはチーム部門タイトルもあり、こちらに関してはSUGO戦の結果によってPETRONAS TEAM TOM’Sの2年連続3度目の戴冠が決定している)