【VW ポロ 試乗】コンフォートライン、激戦区Bセグメントの優等生…中村孝仁

試乗記 輸入車

VW・ポロ
  • VW・ポロ
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  • VW・ポロ
  • ヘッドライトはいまだに普通のハロゲンタイプ
  • VW・ポロ
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  • フロアは二重底
  • リアシートは折りたたんでもフラットにならない
VW『ポロ』の属するBセグメントは年間100万台という巨大市場の激戦区。今後も拡大すると予想される背景は、国産ハイブリッド車の登場である。そんな巨大市場の中でポロは間違いなく最高の優等生であった。

Bセグメントのユーザーグループは、ひとつが大型車から乗り換えるいわゆるダウンサイザー。そしてもうひとつが昔からコンパクトカーに乗り続けるコンパクトリピーターである。それにしてもこの市場、本当に激戦である。国産ハイブリッドの代表格はトヨタ『アクア』、それにホンダ『フィットHV』。輸入車を見ても、成長著しいルノー『ルーテシア』や1リットルエンジンながら侮り難い性能のフォード『フィエスタ』などが登場し、これまでのポロ独り勝ちとは様相が異なる。だからこそのテコ入れなのだが、今回は言わばビッグマイナーチェンジで、完全なフルチェンジではない。

ではどこが変わったのか。それはエンジンでありインフォテイメントシステムなど。エクステリアはフロントを中心に若干の変更が見られるものの、基本骨格は同じで見た目の変化も少ない。本来MQBと呼ばれるVWの新しい骨格が導入されてもおかしくなかったが、今回は見送られた。しかし、エンジンに関してはそのMQBの骨格を見据えた後方排気の新エンジンに変更されている。

1.2リットルのエンジンは排気量が従来と全く同じだが、性能的には若干低められて、最高出力、最大トルクはそれぞれ90ps/4400~5400rpm、160Nm/1400~3500rpmとなり、ピークは下がったものの、全体的に発生回転数が下がり、主として街中で乗り易い設定となっている。実際試乗してみるとパンチ力が落ちたという印象はないし、街中での中低速トルクもこれで十分と感じられた。

このクルマの凄いところは、5ナンバーサイズに収まり、全長も4mを切るコンパクトなサイズながら、そのしっとりとして重厚な乗り味がとてもそのサイズのモデルに感じさせないこと。例えばライバルと考えられる国産のハイブリッドカーと比較した場合、乗り心地の良さと走りの重厚感では、国産ハイブリッドは残念ながらポロの足元にも及ばない。一方で輸入車のライバルと比較した時は、軽快感ではルノーに劣るが、やはり重厚感ではポロが勝っていると感じた。この重厚感は、大型車からの乗り換え組のダウンサイザーにとっては大きな訴求ポイントとなり、小さくなっても乗り味はそれまでの大型車を彷彿させるという点で、確かな受け皿になっていると感じた。

骨格は従来と同じだから、ハンドリングや乗り心地が特段大きく変化した印象はない。同じシャシーを使いながら、『ゴルフ』がファイブからシックスに変わった時は何だこの違いは! と思わせたが、そうしたサプライズはなかった。全体的に非常に良くまとまったコンパクトカーという印象は強いが、質実剛健のこのメーカーには時々、??と思わせる先進性の無さを感じさせる部分がある。

今回の場合、キーは依然としてステアリングコラムに差し込んでキーをひねってエンジンをかけるタイプ。つまりプッシュボタンスタートではない。ヘッドライトにしてもLEDはおろか、ディスチャージタイプも使われていない。まあ、ライバルにはいまだにアイドリングストップもしないモデルがあるから、この点は痛み分けといったところだろうか。そうした点の国産メーカーは進んでいる。

とはいえ、アップグレードパッケージという上級版では全車速対応のACCが標準設定となり、他にもオートライトやフルオートエアコンなどが標準装備となるなど、基本的にこれは欲しいと思う装備が用意された。ひとつ気になるのは、従来まであったハイラインというグレードが姿を消したこと。アップグレードパッケージが事実上ハイラインの後継車になっているようで、価格的にもほぼ同一であった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★


中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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