【レクサス NX 試乗】SUVらしからぬ低重心感覚、そしてターボエンジンに拍手…青山尚暉

試乗記 国産車
レクサス・NX 200t「version L」
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「プレミアム・アーバン・スポーツギア」というコンセプトワードを引っさげ、今ブレイクしているコンパクトクロスオーバーSUVのジャンルに華々しく登場したのがレクサス『NX』だ。

初対面の印象はとにかくインパクトの塊で、スタイリッシュ!! 大型スピンドルグリルを始めとするディテールの造り込み、緻密(ちみつ)さはさすがレクサスである。

ここで試乗した 200t のパワートレインは、レクサス初となる新開発の2リットル直噴ツインスクロールターボ+6AT。最高出力238ps、最大トルク35.7kgmというもの。駆動方式はFWDとAWDを用意するが、最低地上高は170mm。『ハリアー』の175mmとほぼ同等だが、多くのオン/オフともに強い4WD車が200mm前後だと知れば、NXはオンロードメーンのスタイリッシュSUVであることが分かる。

スムーズな乗降性で運転席に乗り込み、まず感心したのは斜め前方の視界。たとえば ハリアー はAピラーの根元にドアミラーがあり、けっこうな死角があるのだが、このNXの場合、三角窓があり、ドアミラーがドアづけされ、Aピラーとの間にすき間があるから死角は最小限。交差点やロータリーなどでのより安心安全が確保される。

そしてその走りっぷりはSUVらしからぬ低重心感覚、直進感の良さ、そしてSUVとして例外的な静かさが印象的だ。

とにかくクルマの動きは軽やか。ちょっと背の高いワゴンを運転しているような感覚だ。ステアリングを切れば思い通りに鼻先が向きを変える、そんなイメージなのである。ちょっと大げさに言えば、「ステアリングを切ることそのものが気持ちいい!」とさえ思わせてくれるスッキリした操縦感覚の持ち主ということだ。

ただ、ボディ剛性、足回り剛性は完ぺきとは言えない。タイヤサイズにもよるけれど、例えばドイツ製SUVのようなガッチリ感、骨太さは感じにくい。ちょっと足回りがきゃしゃに感じられたりするのが惜しい。

乗り心地はフラットで、明らかに(段差やうねりでフワフワした挙動の収まりが悪い)ハリアー より快適・上質だ。ただし、きつい段差での突き上げ感はちょっと気になるところ。ボディー剛性など、さらなる煮詰めが必要かもしれない。

一方、JC08モード12.8km/リットルの新ターボエンジンは文句なしの出来だと思う。

緻密(ちみつ)なトルクオンデマンド制御=エンジンコントロールが自慢だが、そうした能書きはともかく、ターボを意識させない自然な回転フィール、静かさ、1.7トンを越える車重を感じさせない、軽やかでスッキリした加速力が好ましい。

アクセルペダルの微細な踏み込みにもリニアに反応し、繊細なアクセルコントロールが可能だ。動力性能はズバリ、3リットルV6並み…いや、2リットルターボは、下手な3リットルV6よりずっといいエンジンである。

なお、後席はシアターレイアウトで見晴らしがいいぶん、シートクッション地上高は78cmと、このクラスとしては高めで(ヴェゼル65cm、CX-5 70cm)人間の乗降はヨイショっという感じ。同時に荷室フロア地上高も78cmと高めだから(ヴェゼル65cm、ハリアー74cm)、荷物の出し入れは、これまたヨイショである。

よって後席、荷室に大型犬などペットを直接乗り降りさせることは容易ではない。犬を乗せるとしたら、抱き抱えて乗せられる中小型犬向きということだ。

レクサスNXはそのデザイン、ブランドに保証されたインテリアの質の高さ、先進感のある機能、装備類にほれて買うクロスオーバーSUVだと思う。泥臭さなど皆無でオンロード、都会をスタイリッシュに悠々と泳ぐクルマである。「SUVなら輸入車」と決めていたユーザー、頼りがいとスタイリッシュさあるSUVを好む女性ユーザーにも大いにアピールすると思います。

あとはトヨタ/レクサスが今後展開するはずの、今では軽自動車にも採用されている衝突軽減ブレーキなど先進安全装備のさらなる充実を期待したいところですね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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