インディカー・シリーズ第15戦決勝が現地3日、米オハイオ州のミッドオハイオ・スポーツカーコースで開催され、予選最下位の22位だったスコット・ディクソンが大逆転優勝を飾った。佐藤琢磨は18位。
予選ノータイムで22位、最後尾グリッドからのスタートとなったスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/シボレー)が、決勝で見事な大逆転劇をやってのけた。
常設ロードコースのミッドオハイオを90周するレース、30周過ぎに他車とは異なるタイミングで給油&タイヤ交換のピットストップを実施したディクソン陣営は、残り約60周をもう1回のピットストップで乗り切る戦略に出た(大半の他陣営はこの時点であと2回残し)。燃費的にはギリギリ。しかし、展開が味方してくれたこともあり、ディクソンの素晴らしい走りと相まって戦略的中、全車が最終のピットストップを終えた70周手前頃の段階では、なんとトップほぼ安泰の状況に。今季未勝利だった前年王者が、今回を含めて残り4戦の土壇場、実に印象的な勝ち方でシーズン初優勝を成し遂げた。
「正直なところ、これができるとは思っていなかった」と、ゴール後のディクソン。これで直近8年で5勝という好相性コースとはいえ、なにしろ予選最下位からの優勝、まさしく実感であろう。
「ピットストップも素晴らしかった。チームの皆に感謝したい。そしてシボレーのエンジン、特にその優れた燃費性能にも大きな感謝を捧げたい」とディクソンは続けたが、今季、エンジンをホンダからシボレーにスイッチした名門Chip Ganassi Racingにとってもようやくのシーズン初優勝。チップ・ガナッシ代表は「ポコノ(第11戦)やアイオワ(第12戦)では、(勝利が)近づきつつあった。ついに、それがやって来たんだよ」と、喜びと安堵の思いを語っている。
2位はポール発進だったセバスチャン・ブルデー(#11 KVSH Racing/シボレー)。その後ろにはホンダ勢が並び、3~5位はジェームス・ヒンチクリフ(#27 Andretti Autosport)、カルロス・ムニョス(#34 Team Venezuela/Andretti Autosport-HVM Racing)、グレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing)という面々だった。
佐藤琢磨(#14 A.J. Foyt Racing/ホンダ)はディクソン同様に予選ノータイムで21番グリッド発進。ところがディクソンとは真逆の不運な流れに沈んでしまう。1周目の多重クラッシュに巻き込まれマシンを破損して緊急ピットイン、さらにはレース中盤、ガス欠でコース脇にストップして牽引されてピットに戻るなど、散々の展開で最終順位18位。今季の琢磨はこのあたりの順位が本当に多い印象だが、それがまさに不運なシーズンを象徴している。前戦での今季決勝ベスト5位で運気は上向くかに思われたが、残念ながらそうではなかったようだ。
「スタートで3台はオーバーテイクしたと思うが、目の前でアクシデントが発生し、横にマシンがいたためにラインを変えることもできず、行き場を失い、止まっていたマシンにぶつかった。それでもウイングを交換してレースに復帰でき、気を取り直して追い上げるつもりだったが、マシンのハンドリングが万全ではなく、ペースが上がらなかった」と無念の一戦を振り返る琢磨、今季のリベンジ機会はあと3戦だ。
チャンピオンを争うエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)も今回は不運だった。マシントラブルでスタートに参加できず、4周ほど遅れての戦線登場と、ディクソンより後ろからの戦いを強いられて最終結果19位、ポイントリーダーの座から陥落した。今回6位だった僚友のウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)が、4点という僅差(548対544)ながら逆転でポイント首位に立っている。
残り3戦は8月後半の3連戦、今季のインディカー・シリーズは一気に終局へと向かう。次戦第16戦決勝は現地17日、ウィスコンシン州ウエストアリスのオーバルコース「ザ・ミルウォーキー・マイル」で開催される。