【日産 スカイライン 200GT-t 試乗】スポーツモードこそスタンダードに相応しい…中村孝仁

試乗記 国産車
日産・スカイライン 200GT-t Type SP
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『メルセデス』の パワートレーンを搭載した『スカイライン 200GT-t』を一般公道で走らせた。改めてその実力を評価しよう。

本来ならば、日産『スカイライン』あるいはインフィニティ『Q50』など、車種名の前にはメーカーあるいはブランド名が付くのが自然。野球だって読売ジャイアンツだったり、ソフトバンクホークスだったりするわけで、ただスカイラインと呼ぶのはどうも違和感を感じてしまう。まあ、そんなことはどうでもよいのだろうが、完成された新しいスカイライン(V37)は、正直言って従来のスカイラインという枠から大きくはみ出したモデルといえる。

その根拠の一つが価格だ。最も安いモデルでも383万4000円する。V36時代はベースグレードなら200万円台で手に入ったから、ざっくり100万円近く高い。もう一つは国産純血種でなくなったこと。良い悪いは別として、ドライブトレインはメルセデス製である(200GT-t)。そしてスカイラインの名を持ちながら、その実態はといえばインフィニティQ50の日本版であるということ。かつてはスカイラインを北米で販売する際にG35あるいはG37と名付けて供給したものが、今度はそもそもインフィニティとして誕生し、それが逆に日本でスカイラインの名で投入されることになった。値段が高くなった背景は、インフィニティとして海外では高級車として販売されていることが一つの要因だが、メルセデスからドライブトレインを購入したことも、価格を押し上げる要因だろう。

その心臓部たるエンジン並びにトランスミッションである。最新鋭がメルセデスから供給されるならともかく、実はひと世代前のもの。最新鋭は出たばかりの『Cクラス』に搭載されているもので、これはリーンバーンで第3世代の直噴システムだという。おかげでスカイラインのJC08モード燃費は13.0km/リットルであるのに対し、メルセデスは同じ2リットルエンジンで比較しても16.5km/リットルと、25%以上も上回るのだ。

机上の数値的なパフォーマンスではスカイラインが新型Cクラスを上回っているが、果たして実感としてどれほど上なのかはこの先の検証が必要だが、燃費と環境性能では負けている。問題なのは、スカイラインが相手とするいわゆる仮想敵にこの新しいCクラスをはじめ、BMW『3シリーズ』やアウディ『A4』といった、いわゆるDセグメントのプレミアムカーがすべて含まれること。Cクラスだけをみれば、どうもエンジンでは差をつけられている印象が強い。

実際に試乗してみると、動力性能的には全く不満は感じない。追浜のテストコースで乗った時よりもトップエンド付近のエンジン回転音が耳に付く程度で、静粛性に関しても十分及第点が与えられる。一方で、このクルマの売りともなっているドライブモード。ハイブリッド仕様からエコモードが省かれて、スノー、スタンダード、スポーツ、それにパーソナルの4モードとなったが、スタンダードで走ると何ともフロントの接地感に欠け、ステアリングは凡庸として掴みどころがない。センターフィールが希薄なので、時としてオーバーシュートする。

これがスポーツモードになると一転、しっかりとしたセンターフィールを感じ、接地感も遥かに増す。だからといって足が硬すぎるかといえばそんなことは全くなく、これでちょうどよいと感じる。ステアリングの重さにしてもこれがいい。つまり、個人的な意見としては今のスポーツの設定こそスタンダードに相応しく、ズバリ言えば今のスタンダードはスカイラインには不相応かつ不必要だ。

メーカーのエンジニアと話をさせてもらっても、納得のいく答えは返ってこなかった。もし本当にスポーティーセダンを標榜するならば、もっと遥かにしっかりとしたステアフィールなり、接地感なりを与えて欲しいと思う。だから、V37スカイラインは決してスポーティーセダンではなくて、プレミアムセグメントを狙ったラグジュアリーセダンと僕は感じる。

ではひしめくライバルに対してスカイラインがどの程度の勝機を持っているかという点だが、実際に試乗していないメルセデスや最新アウディについては不明だが、BMWに対しては分が悪い。対等だと感じたのはキャデラック『ATS』。すでにBMWに対して分が悪いとなると、Cクラスに対して苦戦するのは目に見えている。おまけに価格はほぼ拮抗しているのだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★


中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。
《中村 孝仁》

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