7月14日、日本で最も勢いのあるオフロードレースJNCCの第5戦が、熊本県阿蘇観光牧場周辺で開催。同会場は実に3年ぶり。阿蘇ミルクロードの典型的なのどかなワイドロケーションが魅力で、最長で15kmを確保できるフィールドだ。今戦には、アメリカのクロスカントリーレースGNCCに挑戦して3年目、元JNCCチャンピオンであり元全日本モトクロスチャンピオンの小池田猛も、一時帰国でスポット参戦。
台風8号の到来は避けられたものの、梅雨時期ということもあり前夜から会場は豪雨に見舞われた。レース中に10mm/h以上の雨が降り続けたのは、JNCC史上なかったことで、火山灰土質の黒土が重く強烈に滑る最悪のコンディション。全面、路面ミューはゼロに近く、まともに前に進めないような状態になり、普段なんともない場所が突如広大な沼となって現れるなど、地元ライダーさえもが脅かされるほどのバッドコンディションだった。15kmのコースは5kmまでカットされてのレースに。
ホールショットは鈴木健二。渡辺学も絶好調の飛び出しをみせ、若手小林雅裕、矢野和都もいつものようにこの2名に食らいつく走りを見せる。注目の小池田は出遅れてしまい、バックエンドからの追い上げを強いられる形となった。この日は特に小林が乗れており、2周目には鈴木をパス。いつもなら、鈴木は小林を数周泳がせて頃合いを見計らってパス、渡辺がこれに合流してトップ2を形成するが、この日の小林のスピードは鈴木を上回っており、ぐいぐいと引き離していく。中盤の時点で、4分以上のリードをもって小林は独走へ。
鈴木は「どうしようもないし、何度もはまってしまった。人の手を借りないと抜けられない沼もあって、追いつけない」と振り返っている。小林は、3番手まで浮上した小池田をもラップし、参戦10年目、悲願の初優勝を遂げた。「レース中は順位がわからなかったので無我夢中で走りました。チェッカーが振られて、はじめて自分が勝ったことを知りました。本当にうれしい」と小林。渡辺さえ手こずった沼に、鈴木は「ほとんど真ん中を突っ切って王道をいった感じ。最後2周は渋滞を避けて、大きく迂回した」とのこと。
AA2は今季3勝目の小坂竜也。Aクラスでは総合でも4位に入った大樂誠也がこちらも初優勝を遂げている。