新型ジープ『チェロキー』で、もっとも強靭なオフロードでの走りを見せつけるのが「トレイルホーク」だ。“ジープアクティブドライブロック”と呼ぶ高度な4輪駆動システムが、このモデルの武器となる。
理屈抜きで驚かされるのは、オフでの走破性の高さだ。試乗コースとして用意された急なアップダウンと屈曲路を巡る泥濘地を、このクルマはまるで平坦なオンロードを走っているかのようにクールに走り抜ける。コースにできた轍を選ぶことだけ考えて走らせている限り、どれかのタイヤがザザッと一旦空転するような素振りさえなく、クルマが地面を舐めるように掴みながら進む。シリーズでは唯一の220mmのロードクリアランスで、ボディの底を打ったり擦ったりする場面もない。ボディ自体も高剛性だ。足回りの動きもスムースで静か。駆動系メカの作動音、異音も気にならない。乗り味も無闇に身体が揺さぶられず快適でさえある。
“セレクテレインシステム”も有効で、1~8km/h以内でスピードが固定でき、ジンワリとクルマを前に進めることが可能だ。3.2リットルのV6エンジンは、出足からジンワリと適切なトルクをもたらし実に運転しやすい。
グリルやルーフレールはダークグレー、樹脂製オーバーフェンダーも幅広で、バンパー形状はオフロードにより適した形状。静かな凄みさえ効かす専用の外観も、気になる存在感を演出する。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。