三菱『eKスペース』は、徹底したユーザー調査の結果を踏まえながら、開発は行われたという。
NMKV商品企画グループアシスタントマネージャーの葛西宏樹さんは、「ダイハツ『タント』や、ホンダ『N-BOX』などのスーパーハイトワゴンマーケットは急激な成長を見せている。そこで、国内の販売台数をきちんと維持していくためには、このセグメントのクルマが必要だと判断し開発はスタートした」ときっかけを話す。
国内マーケットの軽自動車のシェアは、「『eKワゴン』などのトールワゴンクラスが6割ほど。次がスーパーハイト系で3割ほどだ。そこで、まずは大きなパイを狙えるeKワゴンを投入し、次にeKスペースを開発すると順序で進めた」と述べる。
開発にあたり葛西さんは、「何が良くてこんなに売れるのかを把握することから始めた」という。「スーパーハイト系ユーザーのところへ訪問し、直接お話を聞いたところ、きわめて満足度の高いクルマだということが分かった」。その内容は、「軽なのに室内がとても広く、そこそこちゃんと走り、しかも、維持費が安い。大人4人が乗っても余裕でどこへでも出かけられる、とても良いクルマだと評価されていた」と分析。
そこで、eKスペースの開発で最も重視すべきは室内の広さとした。「まず広さでちょっとでも他社に負けることがあれば、これは戦いに負けてしまう。広さは絶対条件、エントリーチケットだった」と葛西さん。
次に、ユーザー調査で不満点を掘り返すと、細かいところがいくつか出て来た。その中で最も多かったものは、夏場に後席が暑いことだった。「これはほとんどのユーザーからいわれたので、eKスペースでは、ぜひ良くしたいと思った。スライドドアがあるので、後席の乗車率が高い。その時に、エアコンが効かなかったり、日差しが入って眩しいなど、後席の快適性があまり保てていないような状態はダメだと考え、ここを改善することで、eKスペースの強みになるように開発した」。その結果、ロールサンシェードや、クラス初のリヤサーキュレーター採用につながったのだ。