BMWもCESには初出展。ドリフト走行が自動でできる自動運転車を公開し、サムスン電子の『GALAXY Gear』との連携を発表して話題を呼んだが、来場者の人気を集めたのはBMW『i3』の試乗会だった。自らが運転できるとあって、最後まで人気の列は絶えなかった。
用意されたi3は間もなく米国内で販売されるオールEVタイプ。米国内では3万5000ドルで販売される。最高出力は168hpで、最大トルクは25.5kgmを発揮。リチウムイオンバッテリーはフロア部に収納され、航続距離は160km。「Eco Pro」モードで走ればもう少し航続距離は延びるという。
試乗のために用意されたi3は、常に出入りがあるため正確にはわからなかったが、少なくとも10台以上は用意された模様。運転免許証のチェックと事故発生時の対応に関する誓約書にサインをすれば手続きは終了。おそらく4~5km程度の決められたコースを走るよう説明を受けると、すぐにキーが渡された。
キーは持つだけでOKのスマート型。ステアリング横にあるSTART/STOPスイッチを押すと短いアラートと共にメーターが起動し、モーターがReady状態になったことがわかる。さらにその右側にあるシフトレバーを「D」に合わせ、中央コンソールにある電動式パーキングブレーキを解除すれば走り出す準備はOKだ。
驚いたのはそのスムーズなまでの動きだ。アクセルを少し踏むだけで軽々と車速は上がっていき、クルマの流れにもストレスなく乗っていける。その力強さは半端じゃなく、最近試乗したEVの中で間違いなくトップレベルの実力だ。フルスロットルを与えようもんなら、ちょっとしたスポーツカーと十分渡り合えるだろう。
乗り心地もかなり良好で、一般道の凹凸もきちんと処理するし、突き上げ感はほとんどなし。交差点に進入してステアリングを切り込んでいっても、スムーズにトレースしていく。その機敏でしなやかな動きは、外観から感じるコンパクトカーの領域をはるかに超えるものだった。
違和感をおぼえたのはアクセルを緩めたときの減速が、まるでエンジンブレーキをかけたときのように減速すること。もちろん、ここで回生しているわけだが、それにしてもこの時の減速感は大きい。そのため、アクセルを踏み込んだ後の動きは多少なりともガクガクとした感じになる。思わずエンジンブレーキモードに入っているのか、確認してしまったほどだ。
運転席周りはかなり見通しが良く、運転は楽に行えそう。長時間にわたって試乗ではないため、あくまで第一印象だが、シートの座り心地は良好。後席の広さもまずまずだった。ただ、リアドアは一旦フロントドアを開けてからでないと開かない。これは結構不便だろう。また、レンジエクステンダー付きでないとアメリカではまず無理。航続距離で不満は絶対に出る。ホントは試したかったカーナビ機能は距離も時間も短く、叶わなかった。
とはいえ、この走りの良さは期待以上のもの。一般道で、今最高とも言えるEVのメリットをフルに感じ取れた試乗会であった。