デビュー後4年にして大幅なリファインを受けたシリーズの“みどころ”は主に3つ。
世界一パナメーラが売れる(!)中国市場への対応をメインに開発されたロングボディ『エグゼクティブ』の新設と、S/4Sグレードに搭載されて来た4.8リットル8気筒自然吸気エンジンの、ツインターボ付き3リットル6気筒新エンジンへの“ダウンサイズ”。そして、別稿にて紹介のハイブリッド・モデルの大幅進化、だ。
ドイツで開催された国際試乗会でまず乗った、前出6気筒新エンジンを搭載したSグレードは、そのエンジンが回転数を問わず十二分にパワフルな上で、世に数あるV6ユニットの中でも最高峰と思える、極めてスポーティなサウンドを聞かせてくれた事にまず好感触。
同時に、脚の動きがしなやかでしっとりと上質な乗り味を演じると共に、まるでボディサイズが以前より小振りになったかのような、自在なハンドリング感覚が強調されていた点にも、「なるほどこれは“ポルシェの4ドアらしさ”がより強くなったナ」と、そんな好印象を得る事が出来た。
一方、ゲストとしてリアシートに乗れば、“標準車”とは別次元のゆとりある空間が嬉しいものの、ロングボディ版の『ターボ・エグゼクティブ』では、前出Sグレードで得られた人とクルマの一体感に富んだ好ましいハンドリング感覚はやや陰を潜め、「数値上は変わらない」とされる、ボディの剛性”感”もややダウンする事を発見。
結局、その後も様々なバリエーションを試した結果、「どれに乗っても好印象」な標準ボディ車に対して、ロングボディ版はドライバーズカーとしての適性はやや落ちる傾向を確認出来た。
もっとも、ターボ・バージョンで空いたアウトバーンを走行中、前車に追いつくまでの間に『297km/h』をわけ無くマークした事も物語るように、ショーファー・ドリブン的要素を強めた『エグゼクティブ』であっても、相変わらず動力性能と安定性の高さは凄まじい…。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
河村康彦
1960年生まれ。自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ・ケイマンS、スマート・フォーツー、VWルポGTI(ドイツ置き去り…)