このところのボルボは、出すクルマ出すクルマ、デザインが妙にはまる。やわらかなラインは肩から力が抜けていて、「さりげなくクルマを楽しもうという」メッセージが伝わってくる。
以前の、走る羊羹(失礼!)のような四角い無骨さも嫌いじゃなかったけれど、今の時代の今の心境からすれば、まさにこのラインが気持ちにしっとりくるのである。V40はサイズも今の気分にちょうどいいしね。
そしてインテリア。北欧デザインは女子のあいだでは人気が高く、通販にしろ雑誌特集にしろ欠かせないアイテムである。フランス車もドイツ車も、「欧州デザイン」とか「フレンチ流」などというキーワードを押し出してのデザイン論はしないけれど、ボルボは違う。
あくまでも、自らを北欧の代表と位置づけて、北欧デザインなのである。家に置くタンスやキャビネットはそうそう買い替えはできないけれど、クルマを変えることで北欧スタイルが味わえるとしたら、すごくお手ごろでお得だと思う。
サイズ、外観デザイン、インテリアの雰囲気。三拍子そろって日本の女子の心臓を打ちぬくようなコンセプトだが、加えてやられちゃうのは歩行者エアバッグ初搭載というところ。
日本の交通事故は世界的にずば抜けて歩行者が被害者になるケースが多いゆえ、この機能は国産メーカー安全担当者が悩みに悩んで実用化を検討している課題。冬季のスウェーデンじゃ歩いている人も少なかろうに、それでも世界初でこうした機能を出してくるところが、さすがボルボである。
なんかクルマの乗り心地とか書いていないけれど、ネットでいろんなもの購入しちゃう現在、これらの情報だけでV40を選んだとしても、後悔はしないと思います。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。