「ただ、ちょっと人より少し極端なチャレンジをしているだけ」
マン島TTレースを始めとする数多くの著名なレース参戦をこう表現した松下ヨシナリ(佳成)氏(享年43)の通夜・告別式に1000人を超える人々が訪れた。
葬儀委員長の谷川福康氏は、2011年のTTレース支援者であり、3年続けて同レースのヘルパー(スタッフ)として、松下氏に同行した。家族ぐるみで、親戚のような付き合いだったという。
「これだけの人がいらっしゃって、これだけの人に悲しんでいただいている。このへんに関しては、本人自身が驚いていると思う」と、別れの言葉を述べた。
20日、さいたま市浦和区の葬儀所で行われた告別式では、オートバイ業界関係者らが最後の見送りをする長い列が通りまで延びた。その中には、このために来日したPenz13.com BMWレーシングチームのRico Penzkofer(リコ・ペンツコッファー)監督らの顔もあった。
松下氏の遺影の下には、11年の決勝ヘルメットが置かれていた。今年、着用していたヘルメットは地元警察からの返還が間に合わず、もう1つの予備ヘルメットは日本に向けて発送されたものの、届かなかったためだ。
待合所の後方にはライディングスーツや完走メダルなどが展示されていた。オートバイの楽しさを体現した松下氏の足跡を偲ぶものになっていた。そこには千恵子夫人が弔問者へ当てた書簡も共に掲げられ、こんなことが記されていた。
《松下自身、けして若くはないのに挑戦を続けるのは、
若い人に夢を繋ぎたいからだとも言ってました。(中略)
彼に影響を与えられ、夢を感じた人は、
ぜひ夢を受け継いでいって頂ければ幸いです》
ファンに向けた「松下ヨシナリ・お別れの会」は、場所や日時が決まり次第、彼のホームページなどで告知される予定だ。