3月28日に開幕したソウルモーターショー13で、ヒュンダイが高級クーペのコンセプトカーを発表した。『HND-9ヴァネス』という車名のうち、HND-9はソウル郊外ナミヤンにある同社R&Dセンターが開発した9作目のコンセプトカーを意味する。
全長4695mm、全幅1890mmというサイズは09年に登場した現行ジェネシス・クーペより少し大きいだけ。どうやら次世代ジェネシス・クーペの方向性を示すショーモデルと見てよさそうだ。
パワートレインは3.3リットルV6のガソリン直噴ターボと8速ATの組み合わせで、後輪駆動。現行『ジェネシス・クーペ』の主力エンジンは3.8リットルのNAだから、ダウンサイジング・ターボを提案しているわけだ。8速ATはすでに昨年からジェネシスのセダン/クーペ、兄貴分でヒュンダイのフラッグシップセダンの『エクウス』に採用されている。
エクステリアデザインを手掛けたのは、2010年にヒュンダイに入社したばかりのミコラ・キンドラティシン。ウクライナで生まれ、デトロイトでカーデザインを学んだ後、GMを経てヒュンダイのカリフォルニア・スタジオに入り、1年前からナミヤンの先行開発スタジオに移って今回のプロジェクトに携わってきた。
近年のヒュンダイ・デザインは『Fluidic Sculputure=流体彫刻』を基本テーマにしているが、ミコラは「それをアグレッシブなラインではなく、ソフトなフォルムで表現した」とHND-9ヴァネスのデザインの狙いを説明。「プレミアムなスポーツクーペに相応しく、ロングノーズとロングホイールベースのプロポーションにこだわった。流体彫刻のデザイン言語に古典的なエレガンスを込めることで、ラグジュアリーさとパフォーマンスを強調できると考えたのだ」とも。
斜め上方に開く大きなドアは「コンセプトカーとしてドラマティックな驚きを表現するため」とミコラ。このデザインが次世代ジェネシス・クーペに何らかのかたちでつながることは認めながらも、「現時点のHND-9ヴァネスはあくまでもコンセプトカーだからね」と微笑むのだった。