【マツダ アテンザ 試乗】褒めるコメントばかりのアテンザ、実際のところどうなのか…岡本幸一郎

試乗記 国産車
マツダ アテンザ
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今のところ評判の非常に良い3代目『アテンザ』は、とてもスタイリッシュだし、たしかに一般的な乗用車に比べるとはるかに次元の高い仕上がりだと思う。大半の人にとっては今購入しても大きく期待を裏切られることはないだろう。

とはいえ、メディアも褒めるコメントばかりで、実際のところどうなのかが気になっている人も少なくないと思う。そこで、筆者にとって気になった点をあえて指摘しておこう。

まず、走りの「統一感」が『プレマシー』や『CX-5』のレベルには達していない。ステアリングフィールはやや一体感に欠けるし、乗り心地にももう少ししなやかさがあってもいい。ポテンシャルの高さからすると、まだまだ本来の実力が発揮できていないように思える。

また、ガソリンとは別次元の加速感を味わうことができ、経済面でのメリットも大きいディーゼルが人気のところ水をさすようで恐縮だが、走り出してある程度まで車速が乗ってしまえば非常にトルクフルなものの、肝心の最初のひと転がりで期待したほどトルクがついてこないときがある。とくにMTでそれを感じる。また、低圧縮で振動が抑えられているとはいえ、まだゴロゴロした印象はある。

一方のガソリンはあまり気になる部分もなく、自然吸気の直噴エンジンらしい気持ちの良いレスポンスと吹け上がりを楽しむことができる。ハンドリングについても、前軸重が軽く俊敏なガソリンのほうが、アテンザのキャラクターに合っているような気がする。

2リッターと2.5リッターでは最終減速比が異なり、市街地での加速性能にはそれほど違いを感じないが、中~高速域での違いは明らか。実走燃費もそれほど差が開かないのではないかと思う。

ドライバビリティ全般について述べると、セダンとワゴンでは、セダンのほうが剛性感と安定感が高く、ワゴンは乗り心地がやや固め。17インチ仕様と19インチ仕様では、それぞれ一長一短だが、乗り心地はフラット感の高い19インチ仕様のほうが筆者としては好み。加えて、車両重量の大きいディーゼルのほうが突き上げは小さめだ。

中立付近がやや曖昧なステアリングとの相性は、サイドウォールが厚く適度にたわむ17インチ仕様や、前軸重の大きいディーゼルのほうがいくぶん上という印象だ。

いろいろ述べたが、いずれにしてもこれほどのクルマが250万円~という価格設定であるのはたいしたもの。深く考えず「20S」グレードを購入するのが、もっとも賢明かもしれない…?

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

<プロフィール>
岡本幸一郎|モータージャーナリスト

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍やカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級サルーンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、あくまでユーザー目線に立った視点を大切に、読者の方々にとって参考になる情報を提供できるよう心がけている。レスポンスの試乗記には、他媒体では書きにくい本音も!?
日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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