新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2月25日、複数の大型トラックが隊列を組んで自動運転する技術を開発したと発表し、その走行実験を報道陣に公開した。
それは産業技術総合研究所のテストコース(茨城県つくば市)で行われ、大型トラック3台と小型トラック1台が時速80km、車間距離4mで走行した。運転手は乗ったものの、ハンドルやアクセル、ブレーキなどの操作はしなかった。
「この隊列自動走行は大きく分けると、4つの技術から構成されています。1つ目は隊列形成、つまりどのように車群を組むか。2つ目が車車間距離制御、これは車車間通信を使って、いかに車間を短くし、かつ安全に制御するか。3つ目が車線保持。車間距離を詰めると、人間が運転できる限界を超えてしまうので、どうしても自動化でハンドルを制御必要があり、そのためには車線保持技術というのが必要になってくるわけです。そして4つ目が衝突回避です」と日本自動車研究所ITS研究部の青木啓二主席研究員は説明する。
そのため、トラックには多くのセンサーやカメラ、レーダーが搭載されている。そのおかげで車線や前方の車、障害物をとらえることが可能になり、これらの情報を基にコンピュータがハンドル操作や加減速を行う。しかも、後続車は先頭車からブレーキをかけた情報などを瞬時に受信するようになっているので、4mという短い車間距離でも衝突を回避できるという。事実、この日の実験でも、先頭車が急ブレーキをかけたら3台の後続車も一斉に止まり、その車間は4mのままだった。
さらに、この状態で走ると、前のトラックが風よけになって空気抵抗が減り、燃費の節約にも役立つそうだ。数値流体シミュレーションでは、3台隊列走行時に約15%の燃費向上が可能との結果が出ている。
「今回の開発に当たっては、2つの研究機関、7つの大学、10の企業に参加していただいた」とはNEDO省エネルギー部の佐藤嘉晃部長の弁だが、文字通り産学官の英知の結集と言っていいだろう。