『DS5』に乗っていると、周囲に迎合しない自分がちょっとばかり誇らしげに思えてくる。運転席がコックピットのように作られ、天井にまでスイッチが配置され、たとえそれがライトとか屋根のシェードとか、たわいのない作業をするためのスイッチであったとしても、操作感の面白さはドライバーを高揚させる。
しなやかな足や、座り心地のいいソファは、街乗りでも気持ちがいいのだが、今回は改めて、高速8割、ワインディング1割、市街地1割の800kmのロングドライブに持ち込んだ。
市街地では、デザインの丸っこさと、運転席の異次元空間からくる雰囲気でボディサイズをつかみきれず、最初は緊張するものの、運転しているうちに、みるみるボディが小さく感じられてくるという魔法のような気分に遭遇する。そして、1.6リットルのエンジンは、ターボアシストにより、これで1.6リットルかと思うほどの伸びのある加速を実現させてくれる。
そして高速。片道400km=約6時間をどう過ごすかはいつもオシリとの相談になるのだが、相談無用の心地よさ。
これがシトロエンの実力か、と、うなるほどの座り心地のよさなのである。
サスペンションのしなやかさ、そしてシートの巧みさ。座面は加重をほどよく分散し、オシリと太ももの裏全体をうまく包み込み、6時間という長さをまったく感じさせない座り心地。当然、からだ全体にくる疲労度にも差が出て、快適このうえない。ついでに言うと、助手席に座った編集者も、「次も遠出取材のときは、このクルマで」と言うほどの心地よさだったようだ。いや、彼女に言われずとも、私もぜひこのクルマを選びたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。