【クラリオン NX712 インプレ後編】基本から先進機能まで手広く抑えた万能機…会田肇

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クラリオン NX712 ピクチャービュー。画像をタッチすれば施設の詳細や拡大写真を閲覧できる
  • クラリオン NX712 ピクチャービュー。画像をタッチすれば施設の詳細や拡大写真を閲覧できる
  • クラリオン NX712
  • クラリオン NX612 NX712との違いはBluetoothに非対応という点と、4GBのエンタメ用SDHCカードが付属しない点。
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  • クラリオン NX712 声優音声のバラエティぼいす
  • クラリオン NX712 目的地検索メニュー
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アプリによる拡張性が魅力のクラリオン『NX712』だが、カーナビ機能はしっかりとローカルで使える仕様になっている。なかでも従来から高く評価されてきたのが目的地検索能力だ。

◆目的地検索能力に磨きをかけた

NX712もそれは引き継がれており、その機能はさらに磨きがかかったという印象を受ける。なかでも評価できるのが、曖昧なキーワードに対応するその能力の高さだ。たとえば、今の時期、「初もうで」と入力するだけで神社やお寺を探してくれるのだ。キーワードを入力すると、予測候補表示が行われるのでサクサクと入力が進んでいくのも気持ちが良い。他の検索機能も充実。「TVサーチ」は日本全国のTV番組で紹介されたスポットを検索でき、「チズルとススム」はネットとカーナビをリンクして観光スポットの検索やドライブコース作成ができる。

クラリオンがオリジナルで用意している「ピクチャービュー」も見逃せない。表示されている地図の下に周辺のオススメスポットを写真付きで紹介するもので、表示したまま走行すればその情報は自動的に変わっていく。まさに周辺ガイドをリアルタイムで行っているよう感覚で、思わず見入ってしまいそうになるほど楽しい。さらに、気に入ったスポットが表示されたら写真にタッチすると場所を特定し、「ここへ行く」を押せばそのまま目的地設定が終了してルートガイドがスタートする。サクサクとした動きは使っていて気持ちが良く、その実用性の高さは群を抜いていると言っていいだろう。

◆地図データ更新を3年間無料で利用可能

ところで、最新版の地図データは新東名高速道路を収録。その上、NX712なら年5回の差分更新、年1回の全更新の計6回の地図データ更新を3年間にわたって無料で利用できる(下位グレードのNX612では1年だけ無料)。しかも、その期間はユーザーが使い始めた時からカウントされるというのがまた嬉しい。アップデートは自宅のPCからインターネット経由でダウンロードするものだが、方法はとても簡単。NX712で登録したSDカードをPCに差し込み、ネット経由で地図データをダウンロードし、再びNX712にSDカードを戻すだけ。全データ更新で140分ほど、差分更新では40ほどかかるとされるが、きめ細かく最新データが利用できる魅力は大きい。

内蔵したメモリーはNX712の場合、カーナビ用として16GBを使用し、音楽録音用として4GBのSDHCカードを同梱。次世代カーナビとしてプラットフォームを一新しており、メニューも日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字)が利用できる。加えて、「ダウンロードボイス」は人気声優だけでなく「カスタムぼいす」として自分や家族、恋人などが録音した音声で案内誘導できるようにもなった。録音にはそれなりの手間がかかるけれど、身近な人によるガイドが行われれば代え難い魅力となるだろう。

◆独自のプローブ推定補完技術を採用したオンライン交通情報探索

ルートガイドで最大の魅力となりそうなのが「オンライン交通情報探索」。接続した携帯電話経由でリアルタイムの交通情報を取得できるもので、VICSが受信できない状態でも素早く渋滞状況がわかる。走行中のタクシーから収集したプローブ情報も加味し、現時点で情報のない道路であっても周辺の道路状況から推察して交通情報を反映させる「プローブ推定補完技術」を採用。

ルートガイドは交差点拡大図に加えて方面案内看板や車線ガイドを組み合わせた充実したもので、見やすさは抜群。マップルの「渋滞ぬけみち」を収録したり、高低差をなるべく少ない道路を選んで省エネ走行ができるルート探索も行うのも魅力だ。

そして、AV機能。CDやDVDの再生機能に加え、iPod/iPhone、Bluetoothオーディオに対応。PCに保存した楽曲データ(MP3/WMA/AAC)もSD/SDHCカードやUSBメモリーを介して再生できる。CDの録音はもちろん可能で、NX712に付属のSDカードなら約1000曲が録音可能。必要に応じて16GBまでのSDHCカードが使え、その時は最大4000曲が録音可能になる。CD再生時にタイトルがなくても接続した携帯電話経由で楽曲タイトルが取得可能だ。

なかでも特筆すべきはその音の良さ。圧縮音源を再生する機会が多くなっている中で、NX712では圧縮によって失われた高域信号を生成し直す「サウンドリストアラー」を搭載。さらにサブウーファーなしでもまるで存在するかのような重低音を再生する「バーチャルバス」機能も備える。

◆幅広いユーザー層に受け入れられる

NX712を使ってみて感じるのは、とにかく「使いやすい」ということ。目的地は多彩な機能から効率よく探し出せるし、「ピクチャービュー」では単なる周辺検索ではない楽しさすら感じさせる。しかもアプリやCARDGETによる拡張性を備え、プローブによる交通情報をルートガイドに反映できる。2ヵ月に一度の地図データ更新に対応しているのも大きなポイントだ。音声ガイドを好みに応じて自在に変えられるのもコアなユーザーのハートをつかみそう。地味な部分から先進性を感じさせる部分まで、幅広いユーザー層に受け入れられるカーナビに仕上がったと言える。

《会田肇》

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