日産自動車の志賀俊之COOは11月6日に横浜市の本社で開いた決算会見で、中国での販売が尖閣諸島問題を背景に落ち込んでいる影響について、2013年3月期の連結営業利益段階で600億円の悪化を織り込んだことを明らかにした。
会見で志賀COOは「反日デモがピークに達した9月の数日間は店舗の来場が大きく落ち込み、販売に影響を与えた。10月の販売台数は6万4300台、前年比41%減だった。最近は徐々に回復の兆しが見え、販売店への来場者数も戻りつつある」と述べたが、今期の中国での販売計画を従来の135万台から117万5000台に下方修正した。
その影響については「中国での17万5000台の販売台数の減に呼応した営業利益のマイナスが600億円。これは相当慎重な数字、これ以上のことはないだろうというところ」と説明した。
中国市場への今後の取り組み方に関しては「現時点では戦略的な変更を考えるのは時期尚早」としながらも、「日中関係の行方を我々として、よく注視して、その上で今後の投資については当然のごとく、市場の分析を含めて慎重にみている」と述べた。
日産は同日、中国での販売の落ち込みや想定為替レートを円高に見直したことなどを理由に2013年3月期連結業績予想を下方修正した。このうち営業利益は従来の7000億円から5750億円に減額した。