DTMと規則統一化のGT500、エンジンは当面別々

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10月16日の会見には、DTM、SUPER GTのシリーズ関係者と、参戦メーカーのレース部門首脳数名が集った。
  • 10月16日の会見には、DTM、SUPER GTのシリーズ関係者と、参戦メーカーのレース部門首脳数名が集った。
  • 坂東GTA代表と、ITRのアウフレヒト氏が握手。
  • BMWは今季2012年からDTMに復帰した。
  • 毎戦、多くの観客が詰めかけるSUPER GT(写真は富士スピードウェイ)。
  • 単一モノコック採用などを盛り込んだ2012年版車両規則によって、DTMは40〜45パーセントの開発コスト削減に成功したという。
  • GT300クラスには多彩な車種が参戦中。写真の先頭は、ハイブリッドレーサーのホンダCR-Z(鈴鹿戦)。

SUPER GTのGT500クラスとDTM(ドイツ・ツーリングカー・マスターズ)。日本とドイツをそれぞれ代表するハコ車レースの最高峰カテゴリーが、2014年シーズンからの車両規則の基本的な統一について正式合意に達した。

全車共通モノコック(GT500では日本国内で生産して使用)や共通パーツを多数採用することで参戦コスト削減を図った2012年版DTM車両規則を、GT500でも14年から基幹採用するかたちになるのが、今回のGT500-DTM車両規則統一の実状だ。これによって近年、開発競争の主眼となっていた空力に関しては自由度が下がるだろう。

坂東正明GTA代表は「参戦自動車メーカーには、削減できた予算を、ぜひプロモーション関連に充当していただきたい」と話す。DTMは競争レベルの高さもさることながら、レースを自動車メーカーのプロモーションツールとして使うことに長けたカテゴリーでもあるだけに、「その面では、この提携によってSUPER GTが得るものは大きい」(坂東代表)。

空力の開発自由度が下がれば、マシン性能におけるエンジン面の比重が相対的に増すだろう。そのエンジンについては、将来的な統一を目指しつつも、当面はGT500とDTMが別路線を歩むことになる。DTMは現行規定の4リッターV8NAをしばらく維持することが決まっており、一方のGT500は現在の3.4リッターV8NAから、14年には2リッター直4直噴+ターボに移行することを明らかにした。

ちなみに現在のGT500用エンジンはフォーミュラ・ニッポン用のそれと基本フォーマットを共通としているが、Fニッポン(13年よりスーパーフォーミュラに改名)の方も15日、14年からの2リッター直4直噴+ターボという新フォーマットを発表したばかり。つまり、GT500とスーパーフォーミュラによるエンジン共用は続行されると見ていい。

いずれにしても14年以降の当面、GT500マシンがDTMに参戦、あるいはその逆をするためには、運営シリーズ側が車重や吸気リストリクター径の調整によって性能調整(BOP)を施すこととなり、参戦車はそれに対応しなければならない。これが並行参戦や交流戦の実施に向けてのハードルになるため、日独6メーカーの戦いの実現には、まだまだ課題も多く残るのが現状だ。

また、ハコ車のレースは現在、世界的なシリーズ再編の渦中にあるとも言える。GT500クラスについてはDTMと協調路線を歩むことになったSUPER GTだが、一方でGT300クラスに関しては近年、世界的な拡散を見せるFIA-GT3車両規定を基幹化するなどしており、両クラスで異なる“国際化施策”を採っていることにもなる。このあたりが今後に向けてどういった影響を及ぼすのか、気になるところではある。

とはいえ、独自の進化を遂げた結果、良くも悪くもガラパゴス化し、孤高の世界最速ハコ車レースとなっていた面があるSUPER GTが、欧州レース界と関わりをもつことに積極的になっているのは事実だ。DTMとの交流戦実現を含め、日本のモータースポーツ界の中心核とも言える人気シリーズがさらなる隆盛を得ることに期待したい。

《遠藤俊幸》

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