【トヨタ カローラアクシオ 試乗】よりカローラらしくなった…青山尚暉

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トヨタ・カローラ アクシオ 1.3X
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『カローラ」をつくるということは、もしかすると86を造ることより難しいかもしれない。

先代のようにちょっと高級に、ちょっと大型化すれば、今や平均年齢64歳という歴代を乗り続けるロイヤルユーザーからおしかりを受ける。カローラはいつの時代もカローラであり続けなければならないのだ。

11代目となる新型はそんな反省からヴィッツのBプラットホームを伸ばして用い先代よりも小型化。ホイールベース2600mm、全幅1695mm、全高1460mmは先代同様だが、全長は先代よりフロントオーバーハング部分を50mm短縮した4360mmだ。あらゆるクルマが大型化をたどる中、これは異例の決断と言っていい。

セダンのアクシオはだから、ギュッと凝縮された王道のセダンデザイン。同時に約50kgの減量化(先代1.5G比)を計り、小回り性に直結する最小回転半径は先代の5.1mから4.9mに。搭載するエンジンもダウンサイズ。先代にあった1.8リットルを廃止し、新設定の1.3リットルと従来ユニットを改良した1.5リットルの布陣である。

ところが室内は大幅に拡大されている。前席はAピラーの手前配置や横広がりのインパネデザインによって斜め前方の死角は最小限。視覚的な広々感が演出されている。注目すべきは後席で、ひざ回り空間は先代より実測50mm程度も拡大した(メーカー値は+40mm。もはや『マークX』クラスに迫る、足がゆったり組めるほどの余裕がアクシオにもたらされたのだ! 同時に乗降性、シートからの立ち上がり性も飛躍的に向上。足腰が悪い人でも乗降しやすくなっている。トランクも開口地上高を先代より35mm低め、重い荷物の出し入れがしやすくなった。

そんなアクシオの走りはまずは短くなった全長、Aピラー付け根回りの死角のなさ、小回り性の向上による扱いやすさ、走りやすさが際立つ。

1.3リットルモデルは出足の一瞬こそ排気量なりのエンジンノイズが気になるものの、そこから加速していくと吹け上がりはごくスムーズ。X-Gグレードであれば1.5リットルモデル並みの吸音・遮音部材が使われているためノイズレベルはごく低く抑えられ、巡行中は意外なほど静かだ。

加速性能は軽量化が功を奏し、十分以上。軽快、爽快に加速する。日常域では車重が40kg重くなる1.5リットルモデルとの性能差はそう大きくない。目から鱗だったのがパワステの操舵フィール。扱いやすい軽さと、路面からのフィードバック&安心感ある手応え感を見事に両立した絶妙なタッチ。これなら年齢、性別、運転経験を問わず「運転がしやすく安心」という印象を受けるに違いない。

快適性重視のはずの乗り心地はまずまず合格点。そもそもクラウンのようなタッチを期待するほうが間違っている。ただし、安定感は抜群だ。VSCはもはや全車標準だが、タイヤの接地感が高く、シャシー、サスがタイヤをしっかり使いきっている…と表現できる。いつものカーブを10%以上高いスピードで進入しても鼻歌まじりでクリアでき、運転がうまくなったように感じる…そんなイメージだ。

古いエンジンゆえ回り方が荒く、回すと騒々しい1.5リットルエンジン搭載車にはアイドリングストップがOP設定される。JC08モード燃費は21.4km/リットルとどうセグメントではトップクラス。もはやエコカーである。非装着車に対して+10%の減税が得られる点もうれしい。アイドリングストップは5万4600円のOPだが、非装着車との総支払額差は減税で2万円程度に縮まる。

「カローラはカローラでなければならない」そんな命題に真っ向から向き合った王道の大衆セダンがアクシオだ。アクアが欲しいんだけど…という人には薦めないが、今度のカローラはどう?と問われれば、自信を持って薦めることができる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
ペットフレンドリー度:★
オススメ度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。

《青山尚暉》

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