三菱の新型『アウトランダー』は、エクステリア同様インテリアも車格を上げることをテーマとした。
デザイン本部デザイン部エキスパート(デザイン担当)の金澤秀晃さんは、「仕向地によっては、『パジェロ』が売れなくなった場合に、このクルマが三菱のSUVのかなり上位に位置せざるを得ない」と想定し、ダウンサイジング層を受け入れる受け皿や、車格に憧れてアップグレードしてくるユーザー、また、7人乗りのパッケージからミニバンからの乗り換え、さらには、利便性でステーションワゴンからの移行など、幅広い間口を持たせることを考慮したという。
「従来型のスポーティな路線は非常にわかりやすい路線だが、新型はコントラストをつけるためにも内外装ともに車格感を上げたのです」。
また、従来型の内装の質感については、各仕向地から安っぽいなど非常にシビアなコメントが多くあった。その要因は、部品の分割ラインが多く、チリ合わせや色合わせが難しかったからだと振り返る。
「ベンチマークとしている『RAV-4』や『CR-V』クラスのひとつ上の車格を狙えるように、ソフトパッドを前提とし、またインパネ上面も、シームレスな一体成型を採用することで、すっきりとさせました。それは外観のシンプルなデザインに相通じるところでもあります」。
そして、「センターパネルに操作頻度の高いものを集中させ、あとは大らかに包み込むという、ハード・イン・ソフトの考え方で、明快なコントラストを図りながら質感を上げることを、造形的な大きなテーマとしました」という。
センターパネルも「あまりやりすぎるとスポーティになってしまうので、ドライバー側にちょっと傾け、実用性や機能的なイメージを図りながら、助手席の人があまり疎外感を持たないようにし、わかりやすい加飾でパッセンジャーを包み込むというイメージとなっています」と語った。