かわいらしいエクステリアデザインにカラフルなボディカラー、カジュアルなインテリアやエコに関するユニークな表示の充実などと、クルマのキャラクターに相応しい付加価値がいくつも与えられているところが、まず好印象なトヨタ『アクア』。これらを見た時点ですでに売れて当然だと思える。
フットワークはとても軽快で、もっと『プリウス』のコンパクト版のようなハイブリッド然とした感覚をイメージしていたところ、良い意味でずいぶん違った。操舵に対して俊敏に応答し、ヨー慣性モーメントを感じさせない回頭性は、まるでスポーツカーのようで、キビキビとした走りを楽しむことができる。アクアは、プリウスではあまり感じられなかったドライビングプレジャーと呼べる感覚を持っている。乗り心地はやや固めだが、そのトレードオフとしてこの走りが実現しているのだろうから、個人的にはヨシとしたい。
反面ちょっと残念なのは、筆者がこれまで試した限りでは、期待したほど実燃費がよろしくないことだ。むろん十分に低燃費であることに違いないとはいえ、プリウスよりも約300kgも軽く、10・15モード燃費で40km/リットルの大台に乗ったクルマというイメージからすると、もう少し良くてもいいような気もしなくなかった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界に身を投じ、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。近年はWEB媒体を中心に活動中。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負する。