スバル『BRZ』とトヨタ『86』とのサス設定の違いは、BRZは前が硬めで、後ろが柔らかめという程度。大きな差はないという。だが、走り味は明らかに異なる。
「FRスポーツといえばドリフト」という人に向くのは86だが、「十分なマージンと安心感を持って公道でスポーティな走りを楽しみたい」という人に向くのはBRZだと言える。
リヤの接地感をリアルに感じながら、クルマとの密な対話をすることで、質の高いドライビングを追求することが可能なBRZは、ビギナーにも、腕利きにもオススメできる存在だ。
軽快な吹けとスポーティなサウンドが魅力の専用2リットルユニットは、使い切れる高性能が持ち味。6速ATの出来もいいが、より快感度数が高いのは小気味いいシフト感が光る6速MTで、「スポーツカー好きならMTでしょう」と、積極的にファンの背中を押したい。完成度が高いのは、ハンドリングの正確性が高く、ブレーキの能力も高い17インチタイヤ装着車。装備も充実した「S」がベストバイだろう。
で、今後のBRZにボクが望むことは、操舵感をよりスッキリ&軽快の方向に修正し、エンジンサウンドの官能性に磨きをかけること。そうすれば、最高のFRスポーツになる! スバルはスバルの理想のスポーツカーづくりを貫いてほしい。
●パッケージ ★★★★★
●インテリア/居住性 ★★★
●パワーソース ★★★★
●フットワーク ★★★★★
●オススメ度 ★★★★★
森野恭行|カーレポーター
自動車専門誌のアルバイト、編集プロダクションの社員を経て、84年からフリーのカーレポーターとして活動をしております。生来のクルマ好き……、昔なら「カーキチ」と呼ばれる人種で、スモールカーから高級サルーン、高性能スポーツカー、はたまた2~3t積みトラックまで、機会があればどんなクルマでもとことん試乗をしてきました。今の時代、自動車に対する逆風も吹いていますが、「クルマは人の生活を豊かにするモノ」、「クルマの運転は楽しい!」が私のモットー。出会ったクルマの個性や魅力、そして開発者が担当モデルにこめた情熱などを、新車紹介や試乗インプレッションなどを通して読者の皆さんにわかりやすくお伝えすることを心がけています。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1963年生まれ。