目的地設定からルートを引くまでの動作は気持ち良いほどスムーズだ。ルート探索に要する時間がごく僅かで、東京〜大阪間の距離を引いても数秒で結果を出すし、有料道優先、一般道優先の他、歩行者ルートへの切り替えもワンタッチで済む。
◆ローカル地図収録の強みを発揮
画面で全体ルート、所要時間、到着予測時刻、距離、料金を表示でき、タブ切り替えで条件別に比較もできるのもいい。また、ルート案内中に推奨ルートを外れた時の再探索は開始タイミングで若干ラグを感じるものの、動作はもスムーズに行われる。この辺りはローカルで動作する 「MapFan for iPhone」のメリットを感じる部分だ。
一方で、ちょっと無意味と感じたのは、目的地を歩いてはとても行けない場所に設定しても歩行者ルートの結果が出てしまうことと。歩いて行ける短い距離ででならまだしも、東京〜大阪間を歩行者ルートで探索できることに意味はないだろう。カーナビ視点で言えば、利用方法に応じて条件別探索ができ、その上で距離優先や主要道路優先をタグの切り替えでできるようにして欲しかった。
◆TVスポット検索はユニークかつ実用的
ここで「MapFan for iPhone」での目的地の検索能力について検証してみたい。このアプリはローカルで動作することが基本にしているが、目的地を探す際は通信によって最新情報を探すことも行う。TV番組で紹介された人気店などの情報が調べられる「TVスポット検索」を探す場合にも最新情報の下で結果を反映できるのも「MapFan for iPhone」のいいところだ。
この機能は、ランキングページや特集ページからおすすめのスポットを探せるもので、検索項目に放送局名や番組名などのキーワードを入力すると一覧が表示される。また、iPhoneなら画面左上、iPadなら画面左下にある「TV」ボタンをタッチしても、表示している地図上にある対象店をアイコン別に表示。アイコンをタッチすれば、その詳細情報が表示される仕組みだ。TVなどで採り上げられた店が中となっているだけあって、単なる飲食店だけでなく、ゲームショップや電器店、なかには時代を象徴するユニーク店の情報も含まれているのは面白い。
◆交通情報の対応を切に望む
また、これまでと同様に、周辺検索、キーワード検索、住所検索、駅名検索ができるだけでなくiPhoneやiPadで使っている「連絡先」を目的地として設定することも可能だ。住所さえ登録してあれば、そのデータを元に目的地として設定できるもので、スマホならではの機能として使い勝手は良い。ただ、電話番号から探すのは対象施設が代表番号でもない限り難しそうだ。
目的地を絞り込んだら次は目的地設定となるが、その操作は検索して地図上に表示されたアイコンにタッチし、「ここへ行く」を押すのが基本的な流れ。カーナビなら目的地を絞り込んだら即座に「ここへ行く」を表示することが多いが、それに比べると一手間必要になる。任意地点を目的地として設定する場合も、一旦任意場所に地図を移動させ、その上でフラッグを地図上に立てて設定する。ただ、この時点で選んだ地点を「出発地」「立寄地」「目的地」として選択でき、ブックマークとしての登録もできる一連の操作はよく考えられている。
全体としてみると良くできている「MapFan for iPhone」の『Ver.1.5』だが、残念に思えるのはこのバージョンでも交通情報の表示には未対応となっていること。今や無料アプリのGoogle Mapでさえ交通情報の表示に対応している中で、この対応状況は後れを取っていると言わざるを得ない。iPadで表示すれば、交通情報も違和感なく表示できそうだし、インクリメントPがリリースしているPC向けソフトでは対応しているものもある。ぜひ早急な対応を望みたい。
◆お得感十分、Andoroid対応にも期待
最後にコストの話。新規購入で2,300円かかるが、ローカルに地図をすべて持つことができる。かつ、サービスが提供されている限りは、アップデートやOS対応なども無料で行われているので、利用期限は実質ないと考えていい。
これを踏まえれば、iPhoneあるいはiPadユーザーであればお得感はかなり高い。ビルの谷間を走行することが多い都市部での利用が多いなら車速パルスを併用するカーナビに優位性があるが、郊外へドライブすることを主に使うならこのアプリは大いに力を発揮する。郊外へ出掛けてもTVスポットの情報はかなり見つかったし、交差点での情報精度がかなり上がったようにも感じた。次はAndroid版への展開も期待したい。
新規購入で2300円かかるが、ローカルに地図をすべて持つことができる。かつ、サービスが提供されている限りは、アップデートやOS対応なども無料で行われているので、利用期限は実質ないと考えていい。