明らかに、何もかもが新しい。けれども確実に、『エクスプローラー』20年の歴史の延長線上にある味わい。
海沿いの直線、くねくねと登る山道、駅前の小径。そんなところを走りながら、感じたのはまず硬すぎず柔らかすぎない乗り心地だった。重厚な守られ感はありながら、決して神経質な動きがない。骨格の強化に加え、新たに搭載されたインテリジェント4WDとの連携で、大柄ゆえの気だるさは消し、電子制御独特の無味乾燥さは抑えられている。古き良きエクスプローラーから受け継ぐ大らかさは、しっかり生きていると感じた。
インテリアや操作系のすべては洗練されて、荒れたダートコース上にいても驚くほど静か。優雅なクラシックだって似合いそうな空間だ。横幅が16cm拡大した3列目をはじめ後席のゆとりもたっぷりあり、1席1席が贅沢な造り。これなら長距離だろうが凸凹道だろうが、安心感に包まれた時間が過ごせるはずだ。3.5リットルV6エンジンは、トルクフルながら従来比20%の燃費改善というのも嬉しいところ。
草食系クルマもいいけれど、サバイバルなこの時代には、強さと大らかさを兼ね備えるエクスプローラーにも惹かれる女心を思い知った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
まるも亜希子|カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2010-2011等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。