気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年6月28日付
●原発相に細野氏、首相、延命へ執念(読売・1面)
●日産世界3強も視野、中期計画2016年度シェア8%、新興国取り込み力点(読売・8面)
●三菱自、EV生産引き上げ、2012年度搭載電池の調達先拡大(読売・8面)
●中国高速鉄道期待と不安、進む開発、高い運賃、突貫工事(読売・9面)
●循環冷却稼働すぐ停止、1時間半後、漏水で(朝日・1面)
●サラリーマン小遣い月4100円減(毎日・8面)
●カーナビ地デジン未対応1400万台、買い換えよりチューナー(産経・10面)
●「震災後の日本、北野武さんに任せたい」菅直人首相は19位、アクサ生命調査(東京・7面)
●インド向け新型車を発売、トヨタ(東京・7面)
●ホンダの部品工場中国で3割賃上げ、昨年スト、今年は回避(日産・11面)
●パナソニック、三洋中心に人員削減(日経・12面)
ひとくちコメント
日産自動車のカルロス・ゴーン社長が新たな中期経営計画「日産パワー88」を発表した。ネーミングの「88」は、2016年に世界市場シェア8%、営業利益率8%という目標を掲げているためだ。ただ、この数字は「コミットメント(必達目標)ではなく努力目標」と、ゴーン社長のこれまでの強引な目標からはややトーンダウンした言い回しである。
しかも、ゴーン社長は「今回は、何かを復活させたり守勢に回る必要がなく初めてハンディキャップのない形で最初から攻勢をかけられる中期経営計画だ」などと、オフロードでのギアチェンジも必要ないことを強調した。
きょうの各紙にも「日産パワー88」について取り上げているが、読売は「世界3強も視野」、朝日は「1000万台計画」、毎日と東京は「世界シェア8%へ」、産経は「EV7車種投入で攻勢」、さらに日経は「世界7500店で販売」などと、見出しはまちまちである。
思えば、ルノーから再建請負人として乗り込んできたゴーン氏が日産の社長に就任して丸10年が経過した。一時は米ビッグ3へのスカウト人事も取り沙汰されたが、延命に次ぐ延命で今や自動車メーカーの中ではスズキの鈴木修会長兼社長に次ぐ長期政権となっている。
今回発表した「日産パワー88」は、ゴーン経営の総仕上げとしての意味合いをもつが、社内外からは“ポスト・ゴーン社長”のうわさ話もすっかり影をひそめるなど、さらなる“延命”に意欲を燃やしている。