クライスラーグループが2012年、米国市場へ投入するフィアット『500』のEV。同社のトップが、この500のEVについて、大幅な赤字になるとの見方を明らかにした。
これは1日、『オートモーティブニュース』の欧州版が報じたもの。同メディアの取材に応じたクライスラーとフィアットの両グループを率いるセルジオ・マルキオンネCEOは、EVの採算性が厳しいとの見方を示したうえで、「500のEVは、1台当たり1万ドル(約85万円)以上の赤字になるだろう」と語ったという。
クライスラーグループの計画では、2012年から同グループがフィアット500のEV、『500BEV』を生産し、米国市場へ投入。その価格についても同CEOは言及し、「ベース車両の3倍になる」との見通しを示した。
フィアット500の米国価格は、1万5500ドル(約130万円)から。同CEOの発言を元に計算すると、500BEVの価格は4万5000ドル(約380万円)を超えることになる。それでも1台当たり、85万円以上の赤字が出るというのだ。
日産が昨年末、米国市場でリリースした『リーフ』の価格が、3万2780ドル(約280万円)から。米国政府による7500ドル(約65万円)の税制優遇措置が適用されることを差し引いても、500BEVの割高感は否定できない。
同メディアは、「500BEVは少量生産となるので、その採算性が同社の収益に大きな影響を与えることはない」と分析。さらに「500BEVは同社のEV技術をPRする実験車的なものであり、本命はその技術を将来のガソリンハイブリッド車に生かすことにある」とレポートしている。