気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年3月8日付
●外相辞任、任命責任認める、主婦年金、野党は厚労相追及(読売・1面)
●海賊、初の日本移送へ、商船三井運航タンカー襲撃、米軍拘束の4人(読売・1面)
●日立、中国で水ビジネス、上下水道を一括受注へ、欧州企業に対抗(読売・2面)
●EV充電器設置基準を緩和、規制仕分け終了(読売・2面)
●日立、HDD事業売却、首位の米企業に3500億円で(朝日・1面)
●揺らぐ政権、振れる株価「中東ショック」に追い打ち(朝日・9面)
●ホンダ新興国シフト、二輪車現地生産2割増へ、国内生産は縮小へ(朝日・11面)
●交通事故、中学生9割自転車で、本紙調査、他世代より突出(毎日・1面)
●先端技術で成長目指す、12未来都市を決定、経団連、江東区EV充電インフラ,柏市低炭素の街づくり(東京・6面)
●EV充電器を自販機に併設、ホーキングやパナ電工10社(日経・11面)
●中国新車販売、日産が3割増、1〜2月(日経・11面)
●ゼロスポーツが破産手続きを申請(日経・12面)
●太陽電池保護シート、ブリヂストン、ポーランドに新工場、初の海外生産(日経・12面)
●自動車各社、欧州で苦戦4~12月、トヨタ・ホンダは営業赤字、競争激化、ユーロ安・円高も響く(日経・15面)
●車の窓子供の事故注意、指や首、挟まれて大ケガ、消費者庁対策後も続発「ロック機能使って」(日経・38面)
ひとくちコメント
世界で約40万人の従業員を抱える巨艦・日立グループが、ようやく事業の「選択と集中」に本腰を入れ始めた。英国の高速鉄道の車両製造事業を、日立製作所を中心とするグループが受注する方向で最終交渉を進めている一方で、ハードディスク駆動装置(HDD)事業を手がける米国子会社を、HDD世界首位の米ウエスタン・デジタル(カリフォルニア州)に売却すると発表した。
きょうの各紙も1面などで「日立、HDD事業売却、首位の米企業に3500億円で」(朝日)などと、大きく取り上げている。
日立のHDD事業は2003年に米IBMからHDD部門を約20億ドルで買収したが、価格競争の激化で07年まで赤字が続いた。最近はコスト削減の効果が出て利益が出る体質に転換したものの、中西宏明社長が取り組む「攻めの経営」で財務基盤の強化をめざすには、市況変動で収益が安定しないHDD事業などは「お荷物」ともささやかれていた。
その懸案の事業の売却先が決まったことで、今後は鉄道システムや電力事業など、日立が強みとする社会インフラ事業など成長分野に力を入れる方針という。
そんな中、きょうの読売は「日立製作所が、中国で水ビジネスを本格展開する」と報じている。タイミングが良すぎる報道ではあるが、日本メーカーが中国で包括的な水ビジネスに参入するのは初めてのケースで、日立は四川省成都市で下水道の浄化システムを納入するほか各都市で上下水道の建設・運営などの一括受注を目指すという。
HDD事業売却の会見で中西社長は「『総合電機』という言葉には意味がない」と締めくくったと産経が伝えているが、生き残るためには限られた経営資源をどんな成長分野に集中させるのかが決め手となる。それにはスピード感を伴う経営判断が求められていることは言うまでもない。