日産自動車が発表した2025年9月中間連結決算は、最終利益が2219億円の赤字(前年同期は192億円の黒字)。国内などでの販売低迷に加え、米国の「トランプ関税」も重荷となり、中間期の赤字転落としては5年ぶりという。
中間決算の公表とともに、横浜市の本社ビルを970億円で台湾系の自動車部品大手「ミンスグループ」や米投資ファンドのKKRなどが関与する特別目的会社(SPC)に売却することも発表した。「セール・アンド・リースバック」と呼ばれる契約で、日産は12月から20年にわたり賃借で施設を継続使用するそうだ。
イヴァン・エスピノーサ社長は決算発表の記者会見では、「厳しい環境下でも、先般発表した新型ルークスはわずか6週間で1万5000台を受注するなど(新車投入なども)着実に前進している。資産の最適化を進め、日産が勝ち残る体制を整える」などと強調した。
日産自動車 イヴァン・エスピノーサ社長(11月6日)ただ、これまで「未定」としてきた26年3月期通期の最終損益予想の公表について、「はっきりとした見通しを出せなかった」として、中間期も開示を見送ったことからも、きょうの各紙は手厳しい分析記事となっている。
例えば、読売は「日産再建へ『三重苦』販売不振・トランプ関税・半導体不足」とのタイトルで「リストラ策の進捗に自信を見せているが、再建できるかどうかは依然として不透明だ」と取り上げている。
朝日も「日産続く厳しい決算『車でもうける』道半ば」(朝日)、毎日も「日産見えぬ再建道筋、新型車で打開模索」(毎日)、東京は「日産再建へ視界不良、横浜本社売却、新車投入でも・・」などの見出しでほぼ同様に「もうけを出しにくいコスト構造からの脱却は道半ば。経営再建計画の真価が見られるのは、これからとなりそうだ」(朝日)などと指摘。
そして日経も「日産、反転の道険しく、下期販売1%増、リストラ策は一定効果」(日経)として「遅れているホンダとの協業により、成長計画が示せるかが問われる」とも報じている。
そんな中でも、前向きに取り上げているのは産経で、「日産再建の道『トヨタ流』に、新体制半年、地道な改善」をタイトルに「地道な改善活動の『トヨタ流』にも通じる改革で、組織の風通しや取引先との関係など数字に見えないところで経営の実態は変わり始めている」とも伝えている。あと1カ月余りで、今年の“十大(重大)ニュース”も発表されるが、ホンダとの統合→破談、社長解任、追浜工場閉鎖、本社売却、5年ぶり最終赤字…と、日産のニュースは尽きない。
2025年11月7日付
●日産最終赤字2219億円、9月中間、本社ビル970億円売却 (読売・1面)
●ホンダHV新システム 北米・大型車向け (読売・9面)
●デリカなど8万台改善対策(読売・25面)
●けいざい+・月をめざすトヨタ、「月面」コース夢への助走(朝日・6面)
●華やかに熱戦幕開け、トヨタ勝田3位、自動車ラリージャパン(毎日・12面)
●中国新興EV日本市場狙う、ビッグデータで開発公共交通補完 (産経・10面)
●社説、ガソリン減税は財源と脱炭素の対策示せ (日経・2面)
●ホンダ、中国で開発見直し、旗艦EVの発売延期 (日経・17面)
●三重苦の欧州車、米関税+EV減速+中国低迷、VW赤字転落、メルセデスも減益(日経・17面)
●鴻海・劉揚偉会長「日本車大手が協業候補」AIバブル、心配いらぬ (日経・17面)
●スズキ、5年ぶり最終減益、4~9月11%減、半導体調達に懸念 (日経・21面)
●ソフト99、MBOで特損、1~9月純利益1%減 (日経・21面)
●ガソリン価格、4週ぶり上昇、店頭173.6円 (日経・25面)





