中国北京市での調印式を前にパンダ好きですかと、問われた石原都知事。会見では「どうでもいいよ、そんなものは。ちっともかわいいと思わないし」(昨年7月23日)と話していたが、それでもジャイアントパンダはやってきた。
21日午後9時、全日空FLY! パンダ(HN960便)で成田空港に降り立った2頭は、すぐに陸路で東京・台東区の上野動物園へ。約2時間のドライブを経て、21日午後11時頃に到着する予定だ。
上野動物園のパンダは、来園は3年ぶり。上野動物園には約200人の報道陣が集まった。国内メディアだけでなく、中国など国外のメディアも集まった。予定されていた小宮輝之園長の会見は動物園事務所の会議室から、さらに大きなゾウ放飼場前に移されたほどだ。
迎える動物園側は約9000万円をかけて、空き屋だったパンダ舎を改修した。水浴び場を広く、見学者に配慮し、暖を取るためのヒーターを見学通路近くに新設した。
何しろ2頭のパンダは期間10年。野生動物の保護協力資金として年間95万ドル(約7900万円)のレンタル料がかかる。そのほか食費も1日1万5000円余り。
動物園側は繁殖を目指すが、もし子供が生まれた場合、その子供は満2歳で中国に返さなければならないなど、細かい制約もある。前原外相も定例会見で思わず「あれ高いんですよね」(2月18日)と、こぼしたほどだ。
それでも上野動物園では1972年のカンカンとランランに始まって、日本生まれも含めて9頭の飼育実績がある。上野のパンダというイメージは3年不在だったにも関わらず、消えることはなかった。前述の会見でもしパンダが上野動物園に来ても石原氏は「行くつもりないね、全然」と答えたが、「それでも見たい見たいという人がいて、動物園の売り上げにつながるならいいじゃないですか」(前同)と、同意するしかないほどの状態だったのだ。
検疫をなど必要な手続きをすませた後、上野動物園の環境に慣らし、一般公開となるが、それまでには、まだ1か月ほどかかる。