本来、価格も車格もカテゴリーも、それぞれ違うものを一列に並べて点数をつけるのだから、何を基準すべきなのか、そのこと自体が難しいし、60人なりのいろいろな意見はあっていいと思う。
筆者としては、選ぶのはあくまで「日本カー・オブ・ザ・イヤー」であって、グローバルな視点ではなく、むしろ“日本の”賞であることを強く意識した。
そして、2010年に日本でもっとも世に出た意義のある、2010年の日本をもっとも象徴する1台というのは、一方でエコを追求しつつも、もっとクルマを楽しんで欲しいという明快なメッセージを発信した『CR-Z』に違いないと思った。
単に完成度の高さが問われるのであれば、話はまた違っただろうが、世の中がエコ一辺倒になり、まるでクルマは悪者であるかのような言われ方がされることに少々うんざりしていた中で、CR-Zのようなクルマが出てきたことは心強かった。
一方で筆者は、『ポロ』には点を投じなかった数少ない1人となった。
ポロもよくできたクルマには違いないが、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に相応しいかといえば、そうは思わなかったし、もっとほかに点を与えたいクルマがあったので、結果的に配点しなかった。持ち点の25点を5台に配点するという台数の縛りがなければ、ポロにも配点しただろう。
岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県滑川市生まれ。学習院大学卒業後、生来のクルマ好きが高じて自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジンの編集部員、自動車専門誌の記者を経てフリーランスへ。「クルマ好きのプロ」として、ユーザー目線に立った視点と幅広い守備範囲を自負し、近年はWEB媒体を中心に活動中。