独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO・村田成二理事長)は、高速道路を利用したトラック輸送で、大型トラック3台を車間距離15mに保って自動運転で隊列走行することに成功したことを発表した。
2010年度末までに車間距離10mを達成。さらに、小型トラックを含めた4台隊列で車間距離4mの隊列走行実現を、2012年度末までに目指す。
車間距離を短くして隊列走行をすることは、空気抵抗を低減し、燃費を伸ばす。最終的な目標に到達した状態では「約15%の省エネ効果が見込まれる」(同エネルギー対策推進部)。大きなCO2削減効果が期待されている。
NEDOの自動運転による隊列走行は、高速道路上の白線をカメラで読み取り、速度や方向を制御する方式。隊列走行でも、道路側に新たな設備を増やす必要がない。
大型トラックを通信で結び、3台を1台として制御するため、80km/hで走行しても、車間距離をトラック1台分以下に縮めることができるという。
コンピューターやセンサーなど、制御系すべてを多重化することによって、信頼性の高い自律システムを実現する。システムに故障が発生した場合は、車間距離を広げてスピードを落としながら、自動運転から手動運転に切り替わる。
車両はドライバーに代わりコンピューターが操る。IC(インターチェンジ)に乗り入れてから目的地近くのICまで、通常の状態ではハンドルやブレーキに触れる必要もない。
自動運転による隊列走行は、省エネと省力化を両立させる狙いもあるため、先頭車両だけにドライバーが乗り込み、後続車両は無人。道路側は専用道を前提とする構想もある。
NEDOの今回の実験は、現在の高速道路で、他の種類の車両を含めた混合交通を前提とした構想のため、隊列の台数は4台まで。各車両にドライバーが乗り込むことが前提として開発されている。
NEDOの研究開発は、08年から12年までの5か年計画。現在までに研究費約9億円を投じた。「エネルギーITS推進事業」の一環。
走行制御技術、位置認識技術、走行環境認識技術、車車間通信技術の4つの技術開発チームがある。いずれも大学とメーカーが産学共同開発している。
日大、神戸大、弘前大学、金沢大学、東大、東工大の6大学、日産自動車、デンソーなどの自動車関連メーカー、沖電気、三菱電機など電機メーカーなど、NEDOから15の団体に委託されている。