【日産 マーチ 試乗】どう受け入れられるか、ちょっと心配…青山尚暉

試乗記 国産車
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新型『マーチ』はタイ生産車である。しかし驚くことはない。かつて品質にまったく問題なかった、オペルからスバルにOEM供給されたミニバンの『トラヴィック』や『フィット』のセダン版の『アリア』だってあったわけだから。

中国製ユニクロの縫製品質を見ても、アジアだからどうこうというのはもはやナンセンス。しかーし、生産国がどこであれ、新型マーチはこの時代を生き抜くため安く造ることが前提にある。ボディパネルの隙間やインパネ表皮の質感やパーツとパーツのつなぎ目の見栄えなど、そこかしこに「日本製」の緻密さ、高品質感は、ない。神経質な人にはちょっと、かもなぁ。

エンジンは新開発のバランサー付き3気筒、1.2リットルでCVTとの組み合わせ。流行りのアイドルストップ(市街地走行のみ有効)まで付いてくる。で、走ってみると悪くない。出足からしっかりトルクが出て遅くないし、乗り心地もエコタイヤ特有の硬さやロードノイズの大きさ、ハードコーナリング時のねじれ感こそ気になるものの、直進してる限りしっかりしててフツーの人がフツーに使うぶんには「だからどうした」だ。むしろ女性や運転初心者でも戸惑いなく運転できる抜群の扱いやすさやアイドルストップの自然な作動や、クラス最良の26.0km/リットルのモード燃費、実燃費の良さに注目すべきですね。

室内はまっとうな新パッケージ&ルーフデザインによってクラスベストな頭上空間が確保される。ただ、後席膝回りスペースは狭い。いままで国産コンパクトカーでもっとも狭かった『デミオ』よりまだ狭い(フィットの半分以下)。でも、めったに後席に人が乗らない、はじめて買ったクルマ…ならそんなことも気にならないだろう。

もっとも、タイ製だから激安、でもない。99万9600円〜に惑わされちゃいけない。買うべきアイドリングストップ付きの「12X」だとフィットの「1.3G」(24.0km/リットル)より高い。
 
生産拠点をタイにして世界戦略車として大きな勝負に出た決断には拍手を送りたい。でも、その品質感がこれまでの日産車、国産車に慣れたユーザーにどう映り、どう響くか、ちょっと心配ではある。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
東京都出身。自動車専門誌編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌、一般誌、ウェブサイトなどに寄稿。試乗記、購入ガイドなどの執筆のほか、コンパニオンアニマルとしての愛犬と楽しむ快適自動車生活を各方面で提言中。

《青山尚暉》

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