【新聞ウォッチ】「注意深く見守る」では円高、株安が止まらない

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2010年8月25日付

●円急騰83円台、米英15年ぶり、財務相会見も不発、経済無策見透かす市場(読売・1面)

●マイカー4年連続減、若者離れ1世帯あたり1.08台(読売・8面)

●プリウス接近発信音、歩行者に注意促す(朝日・11面)

●理系の方が実は高年収、文系との差60歳で168万円、京大などが就業者調査(東京・3面)

●日銀、追加緩和を検討、臨時会合、開催も(日経・1面)

●NY株一時1万ドル割れ(日経・1面)

ひとくちコメント

ロンドン市場とニューヨーク市場で15年ぶりに一時、1ドル=83円58銭まで急騰、対ユーロでも一時、1ユーロ=105円44銭と9年ぶりの円高水準をつけた。東京株式市場も、日経平均株価の終値は前日比121円55銭安の8995円14銭と、約1年4か月ぶりに終値で9000円を割るなど、円高・株安が止まらない。

きょうの読売、毎日が1面トップで「円独歩高一時83円台」と報じているほか、各紙とも経済面や社説などでも大きく取り上げている。このうち、政府の無策ぶりを指摘する記事が際立つ。

24日午後5時前、野田財務相が緊急記者会見を行ったが、野田氏は、急激な円高・株安を「明らかに一方向に偏った動きだ」と論評したものの、肝心の対応策は、「市場の動向には重大な関心を持って極めて注意深く見守っていきたい」と述べるにとどまった。記者団から為替介入の可能性を問われても、「コメントしない」と明言を避けたという。 

このため、日本政府は思い切った円高対策を打ってこない---。市場は、日本の為替介入への警戒感が薄れたと見て、会見終了後、円高が進んだ。円高を食い止めるはずの野田氏の「口先介入」の効果は不発に終わった格好だ(読売)としている。

社説でも「菅経済対策、無策に危機感なく国滅ぶ」(産経)、「許されない円高“不戦敗”」(日経)、「政府・日銀が無策では」(東京)などと手厳しい。

こうした中、毎日は「古びた発想から卒業を」とのタイトルで、「円高→輸出企業が大変→株安→緊急対策を、というワンパターンの発想からはそろそろ卒業すべきではないか」として、「悲鳴を上げるだけでなく、せっかくの強さを利益につなげる発想を広められないものか」と指摘している。

そうなれば大騒ぎする必要もないだろうが、毎日の社説どおりに発想の転換ができるかどうかも関心を持って注意深く見守っていきたいものである。

《福田俊之》

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