[写真蔵]60年前のEVが走った!

エコカー EV
1947年に製造された「たま電気自動車」
  • 1947年に製造された「たま電気自動車」
  • 1947年に製造された「たま電気自動車」
  • 1947年に製造された「たま電気自動車」
  • ナンバープレートにも書かれている型式「E4S-47I」は、「電気」「4ドアセダン」「1947年」「第一号車」の意味だそうだ
  • 1947年に製造された「たま電気自動車」
  • 充電プラグはボンネット内にある。一晩で満充電になったそうだ
  • 「たま」再生のためだけに造ったというマイナスネジ
  • 1947年に製造された「たま電気自動車」

日産自動車が21日に埼玉県さいたま市の「さいたまスタジアム2002」で開催したEV試乗イベントの中で、1947年に製造された『たま電気自動車』の試乗走行が行われた。「たま」が音も無く走り出すとイベント参加者からは感嘆の声があがった。試乗イベントの様子を写真でお届けする。

「たま」は、まだガソリンの供給が十分ではなかった第二次世界大戦直後の1947年に立川飛行機が製造した電気自動車(EV)で、会社の所在地から「たま」と名付けられた。同型車は10台程度が実際に生産・販売されたが、現存するのは今回展示された1台のみ。市場に出た個体の不具合等を再現・チェックするためのサンプルとして保管されていた製造第1号車を、日産の技術者達が再生し、走行まで可能とした。

再生するにあたっては、設計図を新たに書き起した上で、あえて製造当時そのままの部品や素材を使うことにこだわったのだという。内装や各部の固定に使われていたマイナスネジは現在入手が困難のため、「たま」再生のためだけにわざわざ業者に造らせたというこだわりぶりだ。こうした取組みにより2010年7月、日本機械学会が選定する機械遺産に認定された。

「たま」は40Vの鉛電池を搭載し、一充電の航続距離は当時でも65kmを実現したという。数年後さらに改良された「たまセニア」では箱根駅伝のコースを往復できる200kmの航続を実現していたというから驚きだ。

価格は35万円で販売されたが、流通台数の少なさからプレミアが付き45万円程度まで跳ね上がったそうだ。当時教員の初任給が2000円。「たま」を現在の価格に換算するとなんと900万円、『GT-R』並の高級車だったのだ。

《宮崎壮人》

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